写真1 Bayard L. Powell氏がプレナリーセッションで三酸化ヒ素による治療の有効性を発表した。

 三酸化ヒ素による治療が、急性前骨髄球性白血病患者に対する初期の治療法として有効であることが分かった。North American Intergroup Protocol C9710によるフェーズ3臨床試験の結果、三酸化ヒ素治療により、無事象生存率ばかりか全生存率も著しく向上した。米国立癌研究所(NCI)共同臨床試験グループの1つである癌・白血病グループB(CALGB)のBayard L. Powell氏らが6月4日、第43回米国臨床腫瘍学会のプレナリーセッションで発表した(写真)。

 試験では、全症例に、全トランス型レチノイン酸(ATRA、45mg/m2/日、経口)、ダウノルビシン(3歳以上50mg/m2IV、3歳未満1.5mg/kg持続点滴静注)3〜6日間、シタラビン(200mg/m2VI)3〜9日間からなる標準的化学療法を実施し、寛解に導いた。それに続き、標準的な寛解後処方として、ATRA (45mg/m2/日、経口、7日間)+ダウノルビシン(50mg/m2、15歳以上3日間、15歳未満2日間)の併用をさらに2クール実施した。

 ただし、1つの群では、完全寛解または部分寛解に至った直後に三酸化ヒ素も2クール投与してから、標準的寛解後処方を実施した。三酸化ヒ素による治療は、0.15mg/kg/日を週に5日間行い、それを5週間続けた。これを1クールとし、2週間の休止の後2回実施した。

 なお、寛解治療の完了時に肉眼的所見で白血病が見られなかった症例には、その後は白血病再発防止のために、免疫抑制剤である6-mercaptopurine(毎日)+メトトレキサート(毎週) 併用によるATRA維持療法群と非併用のATRA維持療法群に分け、経口化学療法をさらに1年間続けた。

写真2 三酸化ヒ素による治療の有効性を示したPowell氏

 今回の試験の対象は、1999年6月から2005年3月までに登録された582人で、すべて新たに急性前骨髄球性白血病と診断された症例だった。このうち成人38例、子供7例が不適格例と判断され分析対象から除外された。結局解析は、不適格例45件を除く537例について行われた。成人480例 (15〜79歳) で、小児57例(15歳以下)だった。

 成人480例は、三酸化ヒ素投与群に243例、三酸化ヒ素非投与群に237例が割り付けられた。この両群で患者背景には、有意な差は認めなかった。なおすべての小児症例は、三酸化ヒ素非投与群に割り振られた。

 29カ月間(中央値)の追跡の結果、完全寛解率は、三酸化ヒ素投与群が86%、三酸化ヒ素非投与群が89%で両者に差はなかった。また、小児症例群の完全寛解率は81%だった。

写真3 多くの参加者で埋め尽くされたプレナリーセッションの会場

 三酸化ヒ素の投与群と非投与群の間に差が見られたのは、3年後の無事象生存率と全生存率。無事象生存率は、三酸化ヒ素投与群が81%で非投与群が66%だった(p=0.0007)。また、全生存率は投与群が86%だったのに対し、非投与群が79%で投与群が高い傾向にあった。小児症例群については、無事象生存率が62%、全生存率が86%で、それぞれ成人非投与群と差を認めなかった。

 血液毒性(赤血球数、血小板数、ヘモグロビン濃度の低下など)は、グレード3が投与群で20%、非投与群で16%に、また小児例群では39%に認めた。グレード4は投与群で55%に、非投与群で67%に認め、小児例群では32%に確認された。

 一方非血液毒性は、グレード3が投与群で42%に、非投与群で30%に、小児例群で25%にそれぞれ認めている。グレード4は、それぞれ5%、5%、7%だった。

 これらの結果から研究グループは、三酸化ヒ素による治療は、急性前骨髄球性白血病患者に対する初期治療法になりうると結論した。