写真1 レトロゾールはタモキシフェンと同等以上の効果が期待できるだろう、と語るRasmussen氏

 乳癌術後補助療法としてのタモキシフェンと、レトロゾールを直接比較したBIG 1-98試験にて、受容体発現パターンに基づく層別解析がなされた。その結果、ER陽性乳癌におけるレトロゾールの優位性は、PgRやHER2の発現有無にさほど影響されないことが明らかとなった。国際乳癌研究グループ(IBCSG;International Breast Cancer Study Group)のB.B.Rasmussen氏(写真)が6月3日、第43回米国臨床腫瘍学会で発表した。

 テーラーメード医療が期待される昨今、乳癌の内分泌療法においても、受容体発現別の治療成績が重要な知見として求められている。

 そこで演者らは、BIG 1-98試験の「タモキシフェン5年群」と「レトロゾール5年群」を対象として、受容体発現に基づく層別解析を試みた。

 解析対象は、治療開始前に免疫学的組織病理所見が得られていたタモキシフェン群の1751例(T)と、レトロゾール群の1782例(L)であった。ともにER陽性の閉経後乳癌であり、PgRとHER2の各発現パターンは多彩であった。

 両群とも受容体発現別のサブグループに区別され、薬剤間の無病生存期間(DFS)が比較された。ハザード分析による結果は、以下の通りであった。

 ER+でのオッズ比は、0.72 (95%信頼区間;0.60-0.86)でLが優れる
 ER+/PgR+での同比は、0.70 (95%信頼区間;0.57-0.85)でLが優れる
 ER+/PgR−での同比は、0.84 (95%信頼区間;0.54-1.31)でLが優れる傾向
 ER+/HER2+での同比は、0.62 (95%信頼区間;0.37-1.03)でLが優れる傾向
 ER+/HER2−での同比は、0.72 (95%信頼区間;0.59-0.87)でLが優れる

 その他、PgRとHER2の組み合わせとして最も患者数の多かったER+/PgR+/HER2−では、オッズ比が0.71 (0.57-0.87)を示してLが優れる結果であった。

 なお、HER2発現については、術後補助療法期間中の再発に強く影響する因子であることが指摘された。試験薬に関係なく4年無病生存率をみると、HER2陰性群の88%に比して、同陽性群では75%と有意に低値を示していた(p<0.01)。

 これらの結果をもとに演者は、「ER陽性の閉経後乳癌患者に対して術後補助療法を開始する場合、いかなる受容体発現パターンであっても、レトロゾールが第一選択肢になりうるものと示唆された。各種アロマターゼ阻害薬にてPgR発現と治療成績との関連性が注目されているのだが、レトロゾールでは、PgR+/−のいずれにおいてもタモキシフェンと同等以上の効果が期待できるだろう」と締めくくった。