写真1 SPIRITS試験の結果を報告する楢原啓之氏

 進行胃癌に対するS-1シスプラチンの併用は、S-1単独投与よりも、全生存期間、無病生存期間とも有意に長く、また奏効率は有意に高いことが、日本の多施設ランダム化フェーズ3臨床試験(SPIRITS試験)で明らかになった。広島大学大学院教授の楢原啓之氏(写真)が6月3日、第43回米国臨床腫瘍学会で発表した。

 試験では進行胃癌患者305人(平均年齢は62歳)を対象に、S-1単独群と、S-1とシスプラチンの併用群に割り付け比較検討した。追跡期間は2年だった。

 その結果、S-1とシスプラチンの併用群では、生存期間中央値が13カ月、S-1単独群では11カ月 (p=0.0366)、ハザード比は0.774(95%信頼区間;0.608-0.985)となった。また無病生存期間(PFS)は、それぞれ6カ月と4カ月だった。

 併用群87人、単独群106人のうち、部分奏効(PR)はそれぞれ46人、32人であり、完全奏効(CR)はどちらも1人だった。全奏効率は併用群で54%、単独群で31%と、有意に併用群で高いことが示された(p=0.0018)。また忍容性も高いことが確認された。

 このことから、「S-1とシスプラチンの併用療法は、進行胃癌において、ファーストラインの標準治療になりえる」と研究グループは結論づけている。

 しかし、ディスカッションための講演を行ったDana-Farber Cancer InstituteのRobert J. Mayer氏は、アジア人と白人では薬剤への反応が異なる点を指摘し、S-1とシスプラチンの併用療法の有効性に関しては、5-FU+シスプラチンとS-1+シスプラチンを比較するFLAGS試験の結果を待ちたいとの見解を示した。