写真1 ニロチニブの慢性期CML対象フェーズ2試験の結果を発表したGianantonio Rosti氏

 ニロチニブ(Nilotinib、AMN107)は、新規Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害薬であり、in vitro におけるIC50値はイマチニブに比して約30倍強力と報告されている。今回、イマチニブ抵抗性・不耐応の慢性期骨髄性白血病(CML)患者に対するニロチニブのフェーズ2試験結果が発表されたが、それによると、細胞遺伝学的効果(MCyR)は55.6%に認め、1年全生存率は95%だった。イタリアBologna大学のGianantonio Rosti氏(写真)らが6月2日、第43回米国臨床腫瘍学会の口述会場で報告した。

 ニロチニブの慢性期・移行期・急性転化期の各CML患者を対象としたフェーズ1試験はすでに行われており、その結果を踏まえフェーズ2試験が実施されている。今回のフェーズ2試験は、多施設共同single armオープン試験であり、ニロチニブの安全性、有効性の評価を目的として、イマチニブ抵抗性・不耐応の慢性期CML患者を対象として行われた。

 本試験では、イマチニブおける治療が抵抗性または不耐応となった慢性期CML患者320人が対象とされた。背景は、平均年齢58歳、平均罹病期間57.3カ月であった。ニロチニブは800mg/日(400mgの1日2回投与)より経口投与が開始され、増量は状況により1200mg/日(600mgの1日2回投与)まで検討された。ニロチニブ投与期間は中央値で341日、投与量(中央値)は793mg/日だった。

 結果として、6カ月以上の継続投与下における血液学的完全寛解(CHR)は75.7%、寛解までの期間中央値1カ月、細胞遺伝学的効果(MCyR)は55.6%、寛解までの期間中央値2.8カ月だった。

 MCyRの内訳は、完全寛解(CCyR)40%+部分寛解(PCyR)15.6%だった。また、MCyRを層別に解析すると、イマチニブ抵抗性群では54%、同不耐応群では59.6%の成績だった。

 全生存率はいまだ中央値に達しておらず1年成績は95%だった。観察期間を通じて320例中19例に進行が認められた。

 なお、重篤な血液毒性としては、Grade3-4の好中球減少が30.5%に、同血小板減少が33.0%に認められた。

 国内の患者会でも、ニロチニブに対する期待度が相当に高い。刻々と発表される試験成績は、イマチニブ投与下で寛解を維持する人達にとっても、強い心の支えとなっている。ぜひともニロチニブが、CML患者の福音となって欲しいものである。

【注】
 イマチニブ抵抗性:イマチニブにて初回寛解を得た後、600mg/日以上へ増量しても進行の兆しがあった症例(対象の約7割)。
 イマチニブ不耐応:MCyRが得られない症例で、イマチニブの副作用によって継続困難となった症例(対象の約3割)。
 試験前の遺伝子変異:P-loopの変異10.4%、Non P-loop変異29%であった。
 細胞遺伝学的効果(MCyR):細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)+細胞遺伝学的部分寛解(PCyR)。CCyRはPh陽性細胞0%、PCyRは0%<Ph陽性細胞≦35%と定義された。