写真1 有用性とのバランスが大事とCuppone氏

 乳癌術後治療におけるトラスツズマブの有用性を示した5つの臨床試験を対象としたメタ解析で、トラスツズマブ投与による心毒性および脳転移のリスクは高いことが確認された。イタリアRegina Elena National Cancer InstituteのFederica Cuppone氏(写真)らが6月2日、第43回米国臨床腫瘍学会で発表した。

 早期乳癌の術後治療において、トラスツズマブによる再発抑制と死亡リスクの減少が、HERA、NSABP B-31、NCCTG N9831、BCIRG 006、FinHERの5つのランダム化臨床試験で明らかになっている。

 しかしこれらの試験では、有害事象として心毒性が報告されており、今回の研究では5つの臨床試験を対象にメタ解析により心毒性および脳転移における相対リスクを分析した。患者合計は1万1187人だった。

 メタ解析の結果、まず無病生存(DFS)におけるトラスツズマブの相対リスクは0.63、全生存は0.65で、どちらも統計的に有意に高く(どちらもp<0.0001)、トラスツズマブの有用性は確認された。

 一方、グレード3〜4の慢性心不全における相対リスクは5.77(p<0.0001)、L-FEVでは1.85(p<0.0001)と心毒性が強いことも分かった。ただし絶対差(AD)は、それぞれ1.43%、5.95%だった。また脳転移の相対リスクも1.57 (p=0.012)だったが、絶対差は0.62%と多くはなかった。

 このため「トラスツズマブにはネガティブな作用があるものの、その有用性とのバランスをはからなくてはいけない」と結論付けている。