写真1 ASCOはガイドラインを見直すべきと語るChan氏

 発熱性好中球減少症を防ぐために投与する白血球増加因子(CSF)による一次予防の費用効果は、二次予防と比較して高くはないことが分かった。65歳以上のびまん性悪性リンパ腫を対象に分析した結果明らかになったもので、R.S.McLaughlin Durham Regional Cancer Center(カナダ)のK. K. Chan氏(写真)らが6月2日、第43回米国臨床腫瘍学会で発表した。

 Chan氏らは、米国臨床腫瘍学会(ASCO)が2006年に改訂したガイドラインと、Cancer Care Ontario のガイドライン(2003年)の違いに着目。CSFによる一次予防を推奨するASCOガイドラインとCSFによる二次予防を推奨するOntario ガイドラインを、費用効果の面から比較検討した。

 データはカナダのオンタリオ州の医療経済統計を使い、費用効果はマルコフモデルを用いて分析した。なお、一次予防あるいは二次予防にかかる費用は、2006年カナダドルを基準とし算出した。

 その結果、それぞれの予防に必要となる費用は、一次予防が2万2077カナダドル、二次予防が1万7641カナダドルだった。また、費用効果分析で指標の1つとなる質調整余命年数(QALYs)は、一次予防が0.254、二次予防が0.248だった。

 一次予防の二次予防に対する増分費用効果比は、(2万2077−1万7641)÷(0.254−0.248)で計算するが、QALY当たり73万9333カナダドルだった。つまり、一次予防と二次予防の比較では、一次予防でさらに1人の発熱性好中球減少症を防ぐためには73万9333カナダドルが必要という計算になった。

 今回の結果からChan氏らは、「CSFによる一次予防は費用効果が高くない」と結論。ASCOはガイドラインの見直しをすべきではないかと考察した。