写真1 YM155のフェーズ1臨床試験を発表した中川和彦氏

 わが国で行われている進行固形がん患者を対象にしたサーバイビン阻害剤YM155のフェーズ1臨床試験で、有望な結果が得られたことが明らかとなった。患者は十分に治療に耐えることができ、一部の患者で腫瘍縮小効果や安定化が確認された。近畿大学医学部教授の中川和彦氏(写真)が6月2日、第43回米国臨床腫瘍学会で発表した。

 YM155は、細胞死の一種であるアポトーシスを抑制するサーバイビンの機能を阻害することで、がん細胞にアポトーシスを誘導する薬剤である。今回の日本におけるフェーズ1臨床試験は、米国で実施されたのと同様に3週間置きに168時間連続投与する方式で行われた。

 34人の患者が登録され、6段階の1日当たり用量別に、1.8mg/m2に3例、3.6mg/m2に6例、4.8mg/m2に6例、6.0mg/m2に8例、8.0mg/m2に6例、10.6mg/m2に5例が、それぞれ割り付けられた。がん種は、非小細胞肺がん7例、食道がんが6例、大腸がんが4例などだった。

 試験の結果、10.6mg/m2投与群の1サイクル目で、5例中2例に用量制限毒性(2例で血中クレアチニン上昇、1例でリンパ球数減少)が認められ、最大耐用量(MTD;maximum tolerated dose)は、1日当たり8.0mg/m2となった。2例とも2週間以内に透析なしにクレアチニンレベルグレード1以下への回復が見られたため、1日当たり8.0mg/m2で投与を継続した。

 抗腫瘍効果は、33例中9例が安定状態(SD)となり、そのうちの5例ではわずかな腫瘍の縮小が確認された。40週時点でも投与を継続している1例の患者(甲状腺がん)では、胸水の消失が確認された。また別の1例(悪性線維性組織球腫)では、腹腔における腫瘍の退縮がCT上で確認された。

 頻度の高かった有害事象は、けん怠感39%、尿中微量アルブミン出現39%、発熱33%、貧血/ヘモグロビン減少30%などだった。

 試験の結果について中川氏は、「どういう系統のがんに効くかは、まだ分からないが、この薬剤は腫瘍を縮小、安定化させる作用がある。とても強い効果を持つわけではないので、他の治療法、治療薬と併用する薬になる可能性がある。また、副作用は腎毒性で軽く、可逆性のものだった」と語った。