Peter Reichardt氏

 最近AMN107という治験コード名が、成書にしばしば登場する。これはBcr-Abl、KIT、およびPDGFRAを標的とした、新規のチロシンキナーゼ阻害薬ニロチニブ(Nilotinib)」のことである。目下のところイマチニブ耐性CMLのセカンドラインとして、海外で臨床試験が進行中である。今回のASCOでは、独Charite大学のPeter Reichardt氏らが、イマチニブ耐性GISTにおけるニロチニブ単剤と、イマチニブとニロチニブの併用の安全性について、6月5日のポスターセッションで第1相臨床試験の結果を報告した。

 対象は、イマチニブ耐性GISTの37例であった。これらは、イマチニブを継続しながらニロチニブを併用する3つの群と、イマチニブを中止してニロチニブに切替える1つの群に割り付けられた。前者ではイマチニブ800mg/日に加え、ニロチニブ200mg/日、400mg/日、もしくは800mg/日が併用された。後者には、ニロチニブ800mg/日が単独投与された。各群の検討例数は5〜18例であった。

 なお、併用群において、イマチニブとニロチニブのそれぞれ血中薬物動態が測定されたが、各パラメータに及ぼす薬剤相互の影響は少なかった。

 本検討において、32例(86%)に1カ月以上の継続投与(単独もしくは併用)が行われ、そのうち7例(19%)には4カ月以上の投与が継続されていた。投与期間中央値は91日であった。
 
 結果として、Grade3および4の副作用が、単独・併用を問わず、ニロチニブ400mg/日以上で認められた。内訳は皮膚反応が合計4例、そのほか高ビリルビン血症下痢高血糖が各1例ずつ認められた。総じて、忍容性は良好であった。

 なお、臨床効果に関しては、6月4日のポスターセッションでAbbeele氏(Dana-Farber研究所)が報告を行っており、次なる第2相臨床試験に期待が持てる内容であった(本Webページのこちらで速報しているので参照されたい)。

 ニロチニブのKITに対する阻害効果は、イマチニブとほぼ同等とされている。しかし、異なる研究グループのin vitro研究によれば、GIST樹立細胞株のGIST-882、およびGIST-GDG1に対するニロチニブの結合は、イマチニブに比して7〜10倍高かったとも報告されている(Prenen H et al. Pharmacology 2006;77:11-16)。ニロチニブの化学構造には、薬剤固有の修飾基が含まれることから、標的分子の変異に対してイマチニブとは異なる作用が期待されている。