Annick D. Van den Abbeele氏

 新規分子標的治療薬であるニロチニブAMN107)は、イマチニブと共通の基本化学構造を有しており、現在のところ、慢性骨髄性白血病CML)での検討が先に進められている。

 ただし、ニロチニブには固有の修飾基も有ることから、標的分子の変異に対する反応がイマチニブとは異なる可能性があるという。そこで、イマチニブ耐性GISTに対するニロチニブの効果が検討された。6月4日のポスターセッションで、米Dana-Farber癌研究所のAnnick D. Van den Abbeele氏が報告した。

 本試験は、多施設共同にて実施されたニロチニブの第1相臨床試験である。そのうち、FDG-PETで評価された対象は、イマチニブ耐性にて腫瘍増大を認めた19例71病変であった。ニロチニブはイマチニブに追加されるか、切り替えるかたちで連日投与された。7日目と28日目に、FDG-PET検査を用いて効果が判定された。

 腫瘍病変のFDG集積はSUV値として定量化され、25%超の増加が「PD」、±25%の範囲が「SD」、25%超の低下が「PR」、集積欠損が「CR」と判定された。

 2回の検査時に、病変ごとに奏効率が求められた結果、PRは35%から49%へと増加し、SDは52%から39%へと低下した。PDは1割程度にみられ、CRは認められなかった。例数が少なく、観察期間も約1カ月間と短いことから、まだ何とも言えないが期待の持てる結果であることに間違いないだろう。

 ニロチニブは、Bcr-AblKITおよびPDGFR-αチロシンキナーゼを標的とし、なかでもBcr-Ablに強い選択性を示すとされる。また、KITとPDGFR-αへの阻害効果は、イマチニブとほぼ同等というプロファイルを有している。現在のところ、海外においてCMLやGISTに関する基礎的・臨床的な検討が始まっており、各国の研究者や臨床家がこれを興味深く見守っている。