J. Berenson氏

 骨形成パラメータである血中アルカリフォスファターゼALP)濃度が、多発性骨髄腫において骨関連事象や予後と相関することから、血中高ALP患者はハイリスクであるとされてきた。アテネ医科大学のJ. Berensonらの研究グループはそうした患者に、支持療法としてビスフォスフォネート製剤を用いたところ、ゾレドロン酸投与群ではパミドロネート投与群に比して、死亡の相対リスクが55%も低下した。この驚くべき結果は、6月4日の口演で発表された。

 検討対象には、治療前の血中ALP濃度が146 IU/L以上を示した89例が含まれていた。これらのうち42例にゾレドロン酸が投与され(ゾレドロン酸群)、47例にパミドロネートが投与された(パミドロネート群)。患者背景および主要治療内容に、特記すべき差異は認められていない。

 検討の結果、投与開始25カ月時点での全生存率は、パミドロネート群の53%に対してゾレドロン酸群では82%と有意に高く(p=0.041)、死亡の相対リスクはゾレドロン酸によって55%低下していた。ちなみに、こうした薬剤間の効果の相違は、血中低ALP患者(146IU/L未満の123例)において認められなかった。すなわち、ゾレドロン酸による多発性骨髄腫の予後改善効果は、低リスク患者においてパミドロネートと同等、高リスク患者においてパミドロネートをはるかに上回るという結果であった。
 
 ゾレドロン酸による骨関連事象の抑制効果は、既にいくつもの臨床試験から報告されているが、多発性骨髄腫患者を治療前血中ALP濃度で層別化し、生存率におよぼす影響を他剤と比較した検討はこれまでにはなかった。想像もしていなかった結果に、聴衆は身を乗り出していた。

 近年、新規のビスフォスフォネート製剤がRAS関連蛋白のプレニル化を阻害し、破骨細胞のみならず悪性腫瘍でもアポトーシスを誘導することが報告され、抗腫瘍剤としての効果も検討されるようになった。ゾレドロン酸においても、単剤でin vitroおよびin vivoの抗白血病効果を示すことなどが、既に諸家から報告されている。口演に際し、演者らは本結果の機序を考察しなかった。なぜ、ゾレドロン酸でこれほど優れた効果が得られたのか、ぜひとも知りたいところである。