東京慈恵会医科大学内科学講座リウマチ膠原病内科の平井健一郎氏

 関節リウマチ(RA)患者では血管新生を伴う滑膜炎が観察される。東京慈恵会医科大学内科学講座リウマチ膠原病内科の平井健一郎氏らは、この血管新生と関節滑膜血流の増加に関連性があることを指摘した。これにより、血管新生の程度をより簡便な超音波ドップラー検査で評価できる可能性があるという。横浜で開催されたアジア太平洋リウマチ学会(APLAR2008)の電子ポスターセッションで9月26日に報告した。

 関節滑膜血流の増加は滑膜組織におけるパンヌス形成の進行に伴う血流亢進の反映と考えられる。その際、血管内皮増殖因子(VEGF)が血流の円滑な循環と血管内腔の負担を軽減するために血管内皮細胞に働き、それが血管新生につながるという。そこで平井氏らは、超音波ドップラーで検出される血流値と、滑膜組織および血漿中のVEGFレベルとの関連を検討した。

 米国リウマチ学会(ACR)の診断基準を満たすRA患者21人を対象とした。年齢は31〜80歳、男女比3:18。罹病期間は3カ月〜33年。18人がステロイド剤、13人がメトトレキサート、4人が生物製剤を使用していた。CRPレベルは 0.04〜8.67mg/dL、VEGF値は77 〜1156 pg/mL、DASスコアは2.3〜5.59だった。

 血漿中VEGFは標準的なELISA法で測定した。関節滑膜の血流値は超音波ドップラーのシグナルの強度を3段階に分け、フローなしはグレード1、中等度以下のフローはグレード2、強いフローをグレード3とした。

 発表では、各グレードのフローとVEGFのレベルが1例ずつ示された。血管新生がないと考えられるフローが検出されないグレード1の例では、血漿中VEGFは148pg/mL、マイルドなフローが検出されるグレード2の例では、血漿中VEGFは374pg/mLだった。グレード3の例では1156pg/mLとなり、血漿中VEGF高値が示された。同様の傾向が21人すべてに示され、血漿中VEGF値と関節滑膜血流のフローレベルは有意な相関を示したという。しかし、CRPとDASスコアについては、フローレベルとの相関はみられなかった。

 以上の結果から平井氏らは、手根関節滑膜内の超音波ドップラー検査は、RA患者における血管新生の評価に活用できる可能性があると結論付けていた。