石川県立中央病院腎・膠原病内科の紺井一郎氏

 抗TNF-α生物製剤の登場で、滑膜炎骨浮腫、あるいは骨びらんに代表される関節リウマチ(RA)の初期症状の治療は大きく進展した。石川県立中央病院腎・膠原病内科の紺井一郎氏らは、こうしたRA初期の微細病変鑑別や治療効果の確認に、既存のX線検査よりもMRIが適していることを確かめ、9月23〜27日に横浜で開催されたアジア太平洋リウマチ学会(APLAR2008)の電子ポスターセッションで報告した。

 紺井氏らは、被験者として発症2年以内の早期RA患者で、抗リウマチ薬(DMARDs)による治療抵抗性を示す10人を抽出し、7人に生物製剤のインフリキシマブ、3人にエタネルセプトの併用を開始、高解像度MRIと一般的なX線検査装置で、生物製剤併用開始前と6カ月ごとの局所画像を撮影した。

 その結果、生物製剤投与前のすべての患者に、MRI画像上で滑膜炎が観察され、6人に重度の、4人に中等度の活動性亢進が認められた。特に高解像度MRIのT1強調画像には、腱滑膜の炎症も詳細に描出された。MRIによる観察では9人に骨髄浮腫が、6人に骨侵食が確認されたが、一般的なX線検査では2人の骨侵食しか検出できなかった。

 1年間の生物製剤併用療法で6人が寛解に至り、4人も症状改善をみた。また、すべての患者の滑膜炎、骨浮腫および侵食の退縮がMRIによって観察された。ただし、4人の患者では新規病変が観察された。

 紺井氏らは、これらの成績をもとに、手根関節における滑膜炎や骨浮腫、侵食などの病変の評価に高解像度MRIが有用と指摘、特に慢性RA患者の長期にわたる経過観察や生物学的療法の効果判定、生物製剤の断薬のタイミングを計ることなどにも活用すべきと結論づけていた。