香港クイーンエリザベス病院のYan Kitty Kwok氏

 現在でも使える最古のリウマチ薬の一つである金製剤は、肝障害患者にも利用でき、有効性も十分。しかし副作用が強く、継続性に難点があるという。香港クイーンエリザベス病院のYan Kitty Kwok氏らは、9月23日から横浜で開催されているアジア太平洋リウマチ学会(APLAR2008)の電子ポスターセッションで、自施設における後ろ向き研究をもとに筋注金製剤の使い勝手を報告した。

 リウマチ治療薬の進歩は著しいものの、ウイルス性肝炎罹患率が高く肝障害患者が多いアジア地域では、使える抗リウマチ薬(DMARDs)が制約される場合もある。そこでKwok氏らは、筋注金製剤を投与した自施設の患者について後ろ向きに解析し、効果と副作用などについて報告した。

 対象は、2002年1月から2008年3月にかけて、香港クイーンエリザベス病院で筋注金製剤の投与を受けたすべての関節リウマチ(RA)患者65人(平均57.2歳、女性78.5%)。ベースラインのリウマトイド因子陽性は76.9%、疾患活動性についてはDAS28が平均5.17だった。

 対象者の15.4%はB型肝炎ウイルス、3.1%がC型肝炎ウイルスに感染していた。全体の17.5%で肝酵素値の上昇が、3.1%では脂肪肝が確認された。また、12.3%には肺繊維化症がみられ、16.9%は肺結核の既往があった。

 金製剤の投与期間は平均75.3週(2.86-234.86週)で、投与開始後、3人に1人(33.3%)が、治療への反応に関する欧州リウマチ学会の定義(EULAR response criteria)で、良好(good)またはやや改善(moderate)となった。血沈(ESR)値は平均で28.5mm/時、CRPも29.2mg/dLと、いずれも有意に減少した。

 金製剤投与前の治療薬は、スルファサラジン(SSZ)が92.2%、ヒドロキシクロロキン(HCQ)78.5%、メトトレキサート(MTX)46.2%などが多く、プレドニゾロンは53.8%に投与されていた。また、金製剤投与開始後の併用薬は、SSZが60%で最も多く、HCQ47.7%、MTX30.8%の順で、プレドニゾロンも60.0%で併用されていた。

 一方、耐容性には問題があった。38.5%は効果がみられず、30.8%が副作用のために中断した。副作用は発疹が14人、たんぱく尿が4人、口腔内潰瘍が6人にみられた。

 これらの結果から研究グループは、筋注金製剤について、慢性ウイルス性肝炎や結核などによる肺繊維化症が多い地域で、肝臓や肺への負荷が低い他のDMARDsで効果がみられない患者には有効だが、投与時には注意深い観察が必要と結論づけていた。