横浜市立大学発生成育小児医療学教授の横田俊平氏

 若年性特発性関節炎患者に対するトシリズマブ治療(抗IL-6レセプター・モノクローナル抗体)の効果が高いことが、長期治療成績でも示された。横浜市立大学発生成育小児医療学教授の横田俊平氏(写真)らが3年近くフォローアップした67例の治療成績で明らかになったもので、有効性を示す指標である小児ACR反応で、80%以上がACR Pedi 70を、60%以上がACR Pedi 90を達成できた。発表後のインタビューで横田氏は「車いすで来院した子が運動会で走れるまでに回復した事例もある」と指摘した。横浜で開催された第13回アジア太平洋リウマチ学会APLAR2008)のセッション「Japan College of Rheumatology - Clinical Course Lecture」で発表した。

 横田氏らは、フェーズ2の対象11例とフェーズ3の対象56例の合計67例をフォローし長期成績を明らかにした。フォロー期間は平均144週(2.8年)に及んだ。

 フェーズ2の対象11例は、トシリズマブ2〜8mg/kg/2週の治療を6〜12週行った後、延長フェーズとして8mg/kg/2週の治療を継続した。治療開始から287週にまでの成績をまとめた。フェーズ3の対象56例は、オープンラベル試験として8mg/kg/2週の治療を3回行った後、2週間の観察期間を置き、二重盲検比較試験(8mg/kg/2週×6回)を実施。さらに2週間の観察期間を置いて以降、延長フェーズを継続した。こちらは治療開始から172週までの成績。

 ベースラインでの67例の背景は、年齢が8.0(2〜19)歳、性別は男性29、女性38だった。発症年齢は3.7(0〜14)歳、罹患期間は3.8(0.4〜16.2)歳だった。CRPは4.4(0〜29)mg/dL、関節炎は4.0(0〜39)関節、コルチコステロイドの量は11.64(0.5〜40.0)mg/日などだった。

 平均144週(2.8年)の時点での治療効果をみたところ、有効性を示す指標である小児ACR反応で、80%以上がACR Pedi 70を、60%以上がACR Pedi 90を達成していた。また、67例中4例は、2ないし2.5年の治療により、トシリズマブ治療の離脱が可能だった。 

 X線検査による関節炎部位の検討によると、ほとんどの事例で形態学上の骨の再生が認められた。また、身長や体重なども改善していた。

 なお、有害事象としては、少なくとも1回、全例で確認された。主な有害事象は、呼吸器感染症と胃腸器官系感染症だった。また脱落例は4例で、3例は抗トシリズマブ抗体陽性、1例は症状の悪化によるものだった。

 横田氏は発表後のインタビューの中で、「車いすで来院した子が運動会で走れるようになった事例もある」と話し、「医師として幸せを感じる」と成果に満足していた。