米University of WashingtonのVictor C Van Hee氏

 大気汚染物質血圧値の関係について、およそ4万人の女性コホートを対象に調査した結果、微小粒子状物質(PM2.5)や二酸化窒素(NO2)への長期間曝露は、血圧値の上昇に関連することが報告された。米University of WashingtonのVictor C Van Hee氏らが、11月3日から7日までロサンゼルスで開催された第85回米国心臓協会・学術集会AHA2012)で発表した。

 大気汚染は、心血管疾患死や左室重量(LVM)と関連があることが報告されている。この機序については不明だが、血圧値の上昇が関与しているのではないかと考えられている。これまでの研究から、大気汚染物質であるPM2.5やNO2に暴露すると血圧値に影響を与えることが報告されているが、大規模な集団において、PM2.5やNO2への長期間暴露の影響について検討した研究は少ない。そこでHee氏らは、大気汚染が血圧値の上昇に関与するかについて大規模コホートを対象に検討した。

 対象は、乳癌患者のリスク因子を検討する米国コホート研究Sister Studyに登録された4万3628人。各血圧値(拡張期・収縮期血圧、脈圧、動脈血圧)を測定したほか、対象者の居住地におけるPM2.5とNO2濃度を、regression spatial prediction modelにて推算した。

 患者の平均年齢は55歳、白人は85%、黒人は9%、ヒスパニックが3%。収縮期血圧は114.8mmHg、拡張期血圧は72.4mmHgだった。

 各血圧値とPM2.5、NO2との関係について各因子(年齢、人種、住居地の緯度・経度、心血管リスク因子など)で調整した結果、PM2.5が10μg/m3増加すると、収縮期血圧値は1.2mmHg(95%信頼区間[CI]:0.5-1.8、P<0.001)、脈圧は1.0mmHg(95%CI:0.5-1.5、P<0.0001)、動脈血圧は0.5mmHg上昇した (95%CI:0.0-1.0、P=0.03)。拡張期血圧においては有意な変化は見られなかった。

 また、NO2が10ppb増加すると、脈圧は0.4mmHg有意に上昇した (95%CI:0.2-0.6、P<0.0001) 。

 これらの結果からHee氏は、「女性において、大気汚染物質のPM2.5とNO2に長期間さらされることで、血圧値は有意に上昇していた。今回の結果から、これまでに報告されている大気汚染への曝露が心血管疾患罹患率や死亡率を上昇させることについて、ある程度説明できるかもしれない」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)