オーストラリアHeart Care Western AustraliaのMark Nidorf氏

 安定した冠動脈疾患患者に対し、通常の治療に加えてコルヒチン錠を1日0.5mg投与すると、急性心筋梗塞や不安定狭心症を含む急性冠症候群、院外心停止、非心臓塞栓性虚血性脳卒中などのリスクを低下させることが示された。オーストラリアHeart Care Western AustraliaのMark Nidorf氏らが、11月3日から7日までロサンゼルスで開催された第85回米国心臓協会・学術集会AHA2012)で発表した。

 冠動脈疾患患者において、活性化好中球は急性冠症候群を引き起こす原因となるため、好中球機能の抑制は不安定プラーク形成のリスクを減らす可能性がある。コルヒチンは、痛風など急性好中球による炎症の予防と抗炎症作用の実績があり、その効果はスタチンやアスピリン以上と考えられている。また、10年間の長期にわたる連続使用を行っても安全で、忍容性が良好な薬物であることも知られている。そこで今回Nidorf氏らは、臨床的に安定した冠動脈疾患患者における心血管イベントのリスクを、低用量のコルヒチンが減らすことができるかどうかを前向き無作為化試験のPROBE試験によって検討した。

 対象は、2008年8月から2010年5月までに血管造影によって安定した冠動脈疾患が確認された患者901例とした。うち297例が不適格、72例が辞退したため除外し、532例を登録した。通常の治療に加え、コルヒチン錠を1日当たり0.5mgを投与する治療群(282例、66歳、男性率89%)とコントロール群(250例、67歳、男性率89%)に割り付け、中央値で3年間のフォローアップを行った。

 患者背景は、糖尿病がコントロール群で28%、治療群で33%。喫煙者がそれぞれ6%と4%、急性冠症候群経験者が24%と23%、冠動脈大動脈バイパス移植術経験者が16%と22%、経皮的冠動脈形成術経験者が55%と60%だった。同様に、アスピリンもしくはクロピドグレル使用者が94%と93%、高用量スタチン(40mg以上のリピトールに相当)使用者が94%と96%、β阻害薬使用者が71%と62%、カルシウム拮抗薬使用者が10%と18%、ACE阻害薬使用者が60%と55%だった。

 主要アウトカムは、急性冠症候群(急性心筋梗塞、不安定狭心症を含む)、院外心停止、非心臓塞栓性虚血性脳卒中のうちどれかが初めて発生したとき、とした。結果、1400日で治療群では5.3%、コントロール群では16%の主要アウトカムがあり、治療群で有意に少なかった(P<0.001)。また、治療群では心臓死がなかったのに対し、コントロール群では5例の心臓死が発生した。ハザード比(HR)は0.33(95%信頼区間[CI]:0.18‐0.60)、NNTは11と低値だった。

 また治療群では、主要アウトカムの各イベントの発生リスクが低減していた。急性冠症候群は、コントロール群で13.6%、治療群で4.60%の発生率だった(HR:0.33、95%CI:0.18‐0.63)。さらに、ステント関連の急性冠症候群発生率には有意差を認めなかったが、非ステント関連の急性冠症候群発生率には有意差を認めた(HR:0.21、95%CI:0.09‐0.50)。院外心停止は、コントロール群0.80%、治療群は非致死性で0.35%発生(HR:0.47、95%CI:0.04‐5.15)。非心臓塞栓性虚血性脳卒中は、コントロール群1.60%、治療群0.35%(HR:0.23、95%CI:0.03‐2.03)だった。

 副次アウトカムは、非ステント関連の急性心筋梗塞(AMI)や不安定狭心症が発生したとき、とした。AMIの発生率は、コントロール群で5.6%、治療群で1.4%と有意にコントロール群で高かった(P=0.014、HR:0.25、95%CI:0.08‐0.76)。同様に不安定狭心症の発生率も、コントロール群で6.4%、治療群で1.7%と有意にコントロール群で高かった(P=0.011、HR:0.10、95%CI:0.10‐0.75)。

 これらの結果からNidorf氏は、「通常の治療に加え、コルヒチン錠を1日0.5mg投与すると、安定した冠動脈疾患患者の心血管イベントリスクが低下する」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)