米Brigham and Women's HospitalのRobert P Giugliano氏

 スタチンで治療中の高コレステロール血症患者を対象に、抗PCSK9(pro-protein convertase subtilisin kexin 9)モノクローナル抗体のAMG145を12週間投与した結果、プラセボ群と比べ、LDLコレステロール(LDL-C)値が最大で66%低下したことが報告された。フェーズ2試験「LAPLACE-TIMI 57」の結果について、米Brigham and Women's HospitalのRobert P Giugliano氏が、11月3日から7日までロサンゼルスで開催された第85回米国心臓協会・学術集会(AHA2012)で発表した。

 PCSK9は、肝臓表面のLDL受容体に結合する蛋白質で、LDL受容体を分解し、LDL受容体数を減少させる作用を持つ。その結果、LDL受容体による血中LDL-Cの取り込みが減少し、血中のLDL-C値が上昇する。AMG145は、PCSK9に結合することで、肝臓のLDL受容体にPCSK9が結合するのを阻害する。

 今回報告されたLAPLACE-TIMI 57は、スタチン(±エゼチミブ)で治療中の高コレステロール血症患者を対象にした二重盲検、ランダム化、プラセボ対照、投与量漸増の第2相試験。AMG145を12週間投与した際の安全性と有効性について、プラセボ群と比較した。

 主要評価項目は投与12週間後のLDL-Cの低下率、副次評価項目はそのほかのリポ蛋白質、薬物動態、忍容性と安全性とした。

 対象は、18〜80歳、スタチン(±エゼチミブ)の4週間投与量が安定しており、空腹時LDL-C値が85mg/dL以上、空腹時トリグリセライドが400mg/dL以下、そのほかの脂質降下治療を受けておらず、ACS、血行再建術、脳卒中や重篤な合併症のない高コレステロール血症患者。試験は、2週ごとのAMG145(70mg、105mg、140mg)投与群と2週ごとのプラセボ投与群との比較、4週ごとのAMG145(280mg、350mg、420mg)投与群と4週ごとのプラセボ投与群との比較からなる。最大6週間のプラセボ皮下投与を行った後に、8つの患者群に無作為に割り付けられた。

 5カ国78施設から高コレステロール血症患者631人が登録された。実際の割り付けは、2週ごとのプラセボ皮下投与が78人(プラセボQ2W群)、70mgのAMG145を2週ごと皮下投与が79人(70mgQ2W群)、105mgを2週ごと皮下投与が79人(105mgQ2W群)、140mgを2週ごと皮下投与が78人(140mgQ2W群)、4週ごとのプラセボ皮下投与が77人(プラセボQ4W群)、280mgのAMG145を4週ごと皮下投与が79人(280mgQ4W群)、350mgを4週ごと皮下投与が79人(350mgQ4W群)、420mgを4週ごと皮下投与が80人(420mgQ4W群)だった。なお、プラセボQ4W群は割り付け時には79人だったが、このうち2人が脱落した。

 患者背景は、AMG145群(474人)とプラセボ群(157人)との間に有意差はなかった。両群の年齢は60〜61歳、女性は50〜54%、白人は87〜94%、平均LDL-C値は123〜124mg/mLだった。また、LDL-C値が130mg/mL未満の割合は65〜66%、糖尿病罹患率は11〜18%、平均BMIは30kg/m2、さらにエゼチミブの使用率は9〜10%、心血管疾患保有率は27〜31%、平均PCSK9値は443〜450ng/mLなどだった。

 主要評価項目の投与開始12週時点でのLDL-C値の低下率は、AMG145を投与した全ての群において、プラセボ群と比べ、有意にLDL-C値が低下した(P<0.0001)。AMG145を2週ごとに投与した群の方が、4週間ごとに投与した群よりもLDL-C値の低下率が大きかったほか、投与量の増加とともにHDL-C値が低下した。2週ごとに投与する70mgQ2W群のLDL-C低下率が−41.8%、105mgQ2W群が−60.2%、140mgQ2W群が−66.1%、一方、4週ごとに投与する280mgQ4W群が−41.8%、350mgQ4W群が−50.0%、420mgQ4W群が−50.3%だった。

 副次評価項目は、投与量の多い140mgQ2W群、420mgQ4W群を対象に検討した。その結果、140mgQ2W群、420mgQ4W群において、総コレステロール値、non-HDLコレステロール値、超低比重リポ蛋白コレステロール値、総コレステロール/HDL-C比、ApoB、ApoB/ApoA1比は、プラセボ群と比べ、いずれも有意に低下した。

 薬剤関連の有害事象は、プラセボ群を含めて50人で確認されたが、いずれも重篤なものでなく、治療中断に至らなかった。また、投与量漸増による有害事象の増加は確認されなかった。AST/ALT値の異常(3xULN超)は見られず、 クレアチンホスホキナーゼの上昇(5xULN超)に差はなかった。心血管イベント(急性冠症候群、冠動脈再建、TIA、入院を必要とするうっ血性心不全、死亡)は8人で確認され、プラセボQ2W群、70mgQ2W群、280mgQ4W群、350mgQ4W群でそれぞれ1人、140mgQ2W群で4人だった。

 これらの結果からGiugliano氏は、「スタチン±エゼチミブにて治療中の高コレステロール血症患者を対象にAMG145を投与することで、プラセボ群と比べ、LDL-C値が最大66%低下した。投与量依存的な有害事象の増加は見られず、高い忍容性が確認された」とし、AMG145投与による心血管イベント抑制効果を検討する第III相試験の実施に強い期待感を示した。

(日経メディカル別冊編集)