スペインHospital Universitario La PazのEsteban Lopez-de-Sa氏

 院外心肺停止で初期リズムがVF/VTリズムの人に対し、自己心拍再開後に32℃を目標にした低体温療法を行うと、34℃の場合に比べ、6カ月後のアウトカムが改善することが示された。これは、スペインHospital Universitario La PazのEsteban Lopez-de-Sa氏らが、36人の院外心肺停止患者について行った無作為化試験の結果明らかにしたもの。成果は、11月3日から7日までロサンゼルスで開催されていた第85回米国心臓病学会・学術集会AHA2012)で発表された。

 これまでの試験結果から、院外心肺停止後に蘇生した人に対し、12〜24時間にわたる、32〜34℃の低体温療法がアウトカム改善につながることは明らかになっていたが、より具体的な最適目標温度は不明だった。

 Lopez-de-Sa氏らは、2008年3月〜2011年8月にかけて、目撃者のいる院外心肺停止で、60分以内に自己心拍を再開した18歳以上の36人(初期リズム:VF/VTリズム26人、心静止10人)について試験を行った。研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方には32℃を目標にした低体温療法を、もう一方には34℃目標の低体温療法を行った。低体温療法は24時間継続し、その後、12〜24時間かけて37℃に体温を上げた。

 主要評価項目は、6カ月後のバーセル・インデックススコアが60ポイント以上の、重度依存のない生存率だった。その結果、主要評価イベントの発生率は、32℃群が44.4%(8人)に対し、34℃群は11.1%(2人)と、32℃で高い傾向が見られたが、有意差には及ばなかった(ログランク検定P=0.12)。

 被験者のうち初期リズムが心静止だった人は、いずれの群でも6カ月未満に死亡した。そこで、VF/VTリズムだった人のみについて主要評価イベント発生率を比較したところ、32℃群は61.5%、34℃群は15.4%と、32℃群で有意に高率だった(ログランク検定P=0.029)。

 パネリストからの「低体温法の目標体温はもっと下げられるか?」との問いに対し、Lopez-de-Sa氏は、「30℃未満になると、別のリスクが上がると思うが、30℃くらいまでは下げた方が、アウトカムが良い可能性があると推測している。次の試験では、33℃と31℃を比較しようと考えている」と回答した。

(日経メディカル別冊編集)