南アフリカWitwatersrand大学のFrederick Raal氏

 ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症HeFH)で、スタチン投与でもLDLコレステロール(LDL-C)値が目標値まで低下しない患者に対し、前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型抗体抗PCSK9抗体)のAMG145を投与することで、12週間後にLDL-C値は43〜55%低下することが示された。これは、AMG145の第II相治験である無作為化プラセボ対照二重盲検試験「RUTHERFORD」の中間報告で明らかになった。成果は、南アフリカWitwatersrand大学のFrederick Raal氏が、11月3日から7日までロサンゼルスで開催されていた第85回米国心臓病学会・学術集会(AHA2012)で発表した。

 HeFHの患者に対し、スタチンやエゼチミブなどを投与することで、LDL-C値の50〜65%の低下が期待できるが、多くの人はLDL-C値の目標値を達成できていないという。

 RUTHERFORD試験では、サイモン・ブルーム基準でHeFHの診断を受け、LDL-C値が2.6mmol/L(100mg/dL)以上の患者168人を対象とした。被験者はスタチンを服用し、またエゼチミブを併用している人もいた。

 研究グループは被験者を無作為に3群に分け、一群にはAMG145を350mg、別の群には420mg、もう一つの群にはプラセボを、それぞれ4週間ごとに皮下投与し、12週間追跡した。

 主要評価項目は、ベースラインから12週間後のLDL-C値の変化だった。

 168人のうち、実際に試験薬またはプラセボの投与を行った167人で、平均年齢は50歳(標準偏差:13)、女性は47%、白人は89%だった。また、ベースライン時の平均LDL-C値は4.0mmol/L(156mg/dL)だった。

 12週間後のLDL-C値減少率は、350mg群が43%(標準誤差:3)、420mg群が55%(標準誤差:3)に対し、プラセボ群は1%(標準誤差:3)と、AMG145群で減少幅が有意に増大した(いずれもP<0.001)。

 また、12週間後にLDL-C値が100mg/dL未満に低下した人の割合は、350mg群が70%、420mg群が80%に対し、プラセボ群は2%にとどまった。LDL-C値が70mg/dL未満に低下した人の割合もまた、350mg群が44%、420mg群が65%に対し、プラセボ群は0%だった。

 なお、AMG145投与群で、12週間後にLDL-C値の低下率が15%未満だった人は、5人だった。

 重度有害作用の発生は、420mg群で2人に認められたが、いずれもAMG145との関連はないと判断し、服用は継続した。

 ディスカッサントで米Emory大学のPeter Wilson氏は、PCSK9のLDL-C値低減効果について今回のAHAで発表された、GAUSS試験など他の2つの試験結果も踏まえて、「(PCSK9はLDL-C低下に関して)極めて有望な生物学的製剤と言える」とコメントした。その上で、長期のLDL-C値低減効果や安全性についての解明は、今後の課題だとした。

(日経メディカル別冊編集)