米国LipoScienceのRay Pourfarzib氏

 冠動脈疾患(CAD)患者の78%は脂質低下療法によってLDLコレステロール(LDL-C)100mg/dL以下を達成していたものの、LDL粒子数(LDL-P)1000nmol/dL以下を達成していた患者は23%に過ぎないことが示された。11月7日までロサンゼルスで開催されていた第85回米国心臓協会・学術集会(AHA2012)で、米LipoScienceのRay Pourfarzib氏らが発表した。

 LDL-PはLDL-Cよりも心血管イベントの予測能が高いことが報告されている。また、大半のCAD患者はLDL-C 80mg/dL未満を目指して脂質低下療法を受けているものの、疾患が進展し続ける患者は多い。そのため、LDL-Cを目標値以下に低下させても、LDL-Pは同程度まで下がっていないケースが少なくない可能性が指摘されている。

 そこで、2010年7月から2012年6月までに血管造影検査でCADと診断され脂質低下療法を受けている患者83例を対象に、核磁気共鳴法(NMR)による血清リポ蛋白解析を行い、脂質値と粒子数について検討を試みた。総コレステロール(TC)、トリグリセリド(TG)、HDLコレステロール(HDL-C)は標準自動分析法により測定し、LDL-CはFriedewaldの計算式から算出した。

 対象の男性比率は78%、年齢は64±11歳。TCは161±37mg/dL、TGは133±74mg/dL、HDL-Cは47±14mg/dL、non HDLコレステロールは116±39mg/dL、LDL-Cは85±30mg/dL、LDL-Pは1364±510nmol/Lだった。薬剤別に処方率を見ると、スタチンは89%、ナイアシンは27%、魚油は20%、フィブラート系薬剤は18%、エゼチミブは13%であり、2剤併用が54%、3剤併用が20%であった。

 一方、米国の疫学研究であるMESA(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)は心疾患既往のない45〜84歳の一般住民を対象としており、それによれば、LDL-Cの20パーセンタイルは100mg/dL、同5パーセンタイルは70mg/dL、また、LDL-Pの20パーセンタイルは1000nmol/L、同5パーセンタイルは700nmol/Lだった。

 このパーセンタイルの閾値を踏まえ、LDL-Cの分布を見たところ、70mg/dL以下が31%、70〜100mg/dLが47%と、78%の患者が100mg/dL以下を達成していた。それに対し、LDL-Pだと700nmol/L以下が5%、700〜1000nmol/Lが18%と、1000nmol/L以下を達成できていたのは23%に過ぎなかった。

 以上からPourfarzib氏は、心血管リスクとしてLDL-Cは重要であることを強調する一方、これまではLDL-Cのコントロールに重きが置かれてきたため、それを達成すると運動療法や食事療法がおろそかになってしまうことが多かったのではないかと指摘した。また、「LDL-C低下療法としてスタチン投与は適切だと考えられるが、LDL-Pを指標とした治療を行うことで、心血管疾患の残存リスクをさらに減らすことが可能になるのではないか」との見解を示した。今後は例数をさらに増やし、患者の予後を追跡したいと述べた。

(日経メディカル別冊編集)