フィンランドのInstitute of Public Health and Clinical NutritionのSudhir Kurl氏

 肺機能の低下は、心臓突然死を予測するリスク因子である可能性が報告された。努力呼気肺活量が10%増加するごとに心臓突然死リスクは18%減少したほか、努力性呼気1秒量(FEV1)が最も低値の群は、最も高値の群と比べ、心臓突然死リスクが約3倍上昇した。11月3日に米ロサンゼルスで開幕した第85回米国心臓協会・学術集会AHA2012)で、フィンランドのInstitute of Public Health and Clinical NutritionのSudhir Kurl氏が発表した。

 心臓突然死は冠動脈心疾患関連死の半分を占めているが、一般集団における心臓突然死リスクと肺機能との関連を調べた報告は少ない。

 そこで、Sudhir Kurl氏らは、一般集団の男性を対象に、スパイロメトリーによる肺機能検査の結果が心臓突然死リスク因子になりうるかについて、前向き研究を行った。そのほか、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、不整脈、肺癌の既往がない男性においても同様に検討した。

 対象は、KIHD(Kuopio Ischaemic Heart Disease Risk Factor Study)の参加者のうち、42〜60歳の男性1342人。肺機能検査は、スパイロメトリーを用いて、FEV1を測定した。心臓突然死の定義は、症候の急激な変化が現れてから1時間以内、または検死によって非心臓突然死であることが示されず、正常状態が確認されてから24時間以内に死亡した場合とした。大動脈瘤破裂、心破裂またはタンポナーデ、肺塞栓症、癌は除外した。

 平均追跡期間は18年(範囲:0.3〜20.7年)。心臓突然死は103人で見られ、うち58.2%の患者は院外で死亡した。心室頻拍、心室細動から蘇生した患者は7人だった。

 多変量解析により、心臓突然死の有意なリスク因子を検討すると、冠動脈血管疾患(ハザード比:6.05)、喫煙(ハザード比:1.22、1日の喫煙箱数×喫煙年数が10増えるごと)、収縮期血圧の上昇(ハザード比:1.21、10mmHgごと)、C反応蛋白(ハザード比:1.03)、年齢(ハザード比:1.04、1歳増加するごと)だった。

 心臓突然死のリスク因子で調整した結果、努力呼気肺活量が10%増加するごとに、心臓突然死リスクは18%減少した。同様に、COPD、不整脈、肺癌の既往のない男性では、心臓突然死が21%減少した。院外における心臓突然死リスクは、努力呼気肺活量が10%増加するごとに21%減少した。

 さらに、四分位でFEV1が最も低値の群は、最も高値の群と比べ、心臓突然死リスクが3.31倍増加した(95%信頼区間:1.45-7.57、P=0.004)。同様に、COPD、不整脈、肺癌に既往のない男性においては、四分位でFEV1が最も低値の群は、最も高値の群と比べ、心臓突然死リスクが3.86倍増加した(95%信頼区間:1.46-10.19、P=0.006)。

 これらの結果からKurl氏は、「中年男性において、肺機能低下は、心臓突然死を予測する因子であることが示唆された。呼吸機能検査は、日常臨床で簡易に測定できることから、一般集団における心臓突然死のリスク層別化に有用である」と語った。

(日経メディカル別冊編集)