米国Cardiovascular Institute at UMDNJ-Robert Wood Johnson Medical SchoolのSampada K. Gandhi氏

 脳卒中は小児の死因の上位10位にランクされ、脳卒中発症児の院内死亡率および30日死亡率は3〜20%と報告されているが、米国において、長期死亡率について検討した疫学研究は近年なかった。今回、小児においては、脳出血は脳梗塞に比べ5年生存率が低いことが明らかになった。米国Cardiovascular Institute at UMDNJ-Robert Wood Johnson Medical SchoolのSampada K. Gandhi氏らが、その詳細をフロリダ州オーランドで開催された第84回米国心臓協会・学術会議(AHA2011)で報告した。

 本検討では、1994年から2007年にニュージャージー州の非連邦病院に入院し、初めて脳卒中と診断された0〜19歳の小児715例を対象とした。患児データはMyocardial Infarction Data Acquisition System(MIDAS)データベースから抽出した。死因はMIDASのデータとニュージャージー州の死亡者登録データを照合して同定した。

 脳卒中病型の内訳は、脳出血が356例(49.8%)、脳梗塞が359例(50.2%)だった。年齢層をみると、脳出血群は生後30日〜4歳が28.9%、5〜9歳が17.4%、10〜14歳が18.3%、15〜19歳が35.4%、脳梗塞群は順に41.5%、18.7%、15.0%、24.8%と、脳出血群は脳梗塞群より年齢が高めだった。

 脳卒中発症児の院内死亡率は12.4%であり、30日死亡率は12.3%、1年死亡率は15.7%、5年死亡率は17.5%であった。全死亡例の約70%が入院から1カ月以内に死亡していたが、5年後以降においても5.3%が死亡していた。

 病型別に生存曲線を検討したところ、30日後まで、1年後まで、5年後までのいずれの期間までにおいても、脳出血の方が脳梗塞より生存率は有意に低かった(いずれもP=0.0005)。

 次に5年以内に死亡した125例の死因を調べたところ、その75.2%は非脳血管系の疾患が原因となっていた。内訳は、髄膜炎や脳炎といった中枢神経系疾患が17.0%、神経系および循環器系の先天性奇形が17.0%、癌が14.9%、HIVを含む感染症・寄生虫症が11.7%、けが・中毒・暴行が10.6%などだった。

 Cox比例ハザード回帰モデルを用いて死亡の独立した因子を調べたところ、脳卒中の病型は有意な因子であり、脳出血の脳梗塞に対するハザード比は2.01(95%信頼区間:1.35-3.00、P=0.0005)だった。さらに、この他の有意な因子として、不整脈の既往、白血病、HIV感染、髄膜炎、血液凝固障害、結合組織病が同定された。

 以上の結果からGandhi氏は、「小児脳卒中において5年生存率は82.5%であることが分かった。また、4人に3人は非脳血管系イベントにより死亡しており、脳出血の方が脳梗塞よりも死亡リスクは高かった」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)