冠動脈血行再建術施行患者の予後には性差があり、一般に女性患者で予後が悪いとされている。フロリダ州オーランドで開催されていた第84回米国心臓協会・学術集会(AHA2011)で、米国Weill Cornell Medical CenterのFay Y. Lin氏らは、冠動脈CT検査(CCTA)により冠動脈疾患(CAD)と診断され、診断から3カ月以内に血行再建術を受けた女性患者の予後は、男性患者に比べて不良だったと報告した。

 今回、Lin氏らは大規模な国際共同研究であるCONFIRM(COronary CT Angiography EvaluatioN For Clinical Outcomes: An InteRnational Multicenter)レジストリーのデータを用いて、CAD患者の死亡・心筋梗塞の発生リスクにおける性差について検討した。

 対象患者は、18歳以上で、2005〜2009年に64列以上のMDCTによりCCTAが施行されCADと診断された患者中、症状は安定しているがCCTAで50%を超える冠動脈狭窄が同定された2799人(女性871人、男性1928人)とした。心筋梗塞あるいは冠動脈血管再建術の既往がある患者は除外した。

 患者背景として、平均年齢は女性65.2歳、男性61.6歳と、女性が有意に高齢だった(P<0.001)。合併症では高血圧(女性68.6% 対 男性56.5%、P<0.001)、糖尿病(同24.4% 対 19.6%、P=0.004)が女性で有意に高率だったが、脂質異常症(同66.6% 対 67.1%、P=0.80)は同等、喫煙歴(同35.7% 対 44.3%、P<0.001)は男性の方が高率だった。

 CCTAによる冠動脈病変数の内訳は、1枝病変が女性68.7%、男性58.6%、2枝病変がそれぞれ21.9%、27.0%、左主幹部・3枝病変が9.4%、14.4%で、重症度は女性の方が有意に低かった(P<0.001)。

 追跡期間の2.2±1.2年間で、死亡・心筋梗塞が7.7%発生した。女性の方がより高齢で、冠危険因子の状況が悪く、症状が強かったが(いずれもP<0.05)、発生率に有意な性差は見られなかった(女性8.8%、男性7.2%、P=0.12)。

 CCTA後の侵襲的冠動脈造影(CAG)施行率は、女性24%、男性27%で性差はなかったが、CCTA後3カ月以内の早期の血行再建術の施行率は女性24%、男性27%と、女性で有意に低かった(P=0.004)。

 ただしCAG施行率について、左主幹部・3枝病変で定義したCAD高リスク症例(9.3% 対 14.3%、P=0.0003)や70%以上の高度狭窄症例(44.9% 対 50.8%、P=0.004)に限ると、女性のCAG施行率が有意に低かった。

 CADと診断されてから3カ月以内に血行再建術を施行しなかった患者の予後に、性差は見られなかった。しかし、3カ月以内に血行再建術を施行した患者では、女性の方が男性に比べ有意に、死亡・心筋梗塞のリスクが高かった(ハザード比1.9、95%信頼区間 1.2-2.9、P=0.006)。

 本検討の限界としてLin氏らは、症状が安定している外来患者を対象としているため急性冠症候群などには当てはめられないこと、CCTA検査を実施する判断に伴うバイアスやCCTA後の内科的治療の変更が考慮されていないことなどを挙げている。

(日経メディカル別冊編集)