米国Pittsburgh Allegheny General HospitalのRobert Biederman氏

 スタチン未治療患者における頸動脈プラークの性状は多様で、LDLコレステロール(LDL-C)がその重要な影響因子である可能性が示唆された。高解像度3D MRIとプラーク解析ソフトを用いた研究で明らかになったもの。フロリダ州オーランドで開催された第84回米国心臓協会・学術集会(AHA2011)で、米国Pittsburgh Allegheny General HospitalのRobert Biederman氏らが報告した。
 
 アテローム性動脈硬化はスタチン治療により安定化が図られる。しかし、プラークの安定化やそれに続く退縮のイメージをMRIにより画像的に調べた成果は知られていない。
 
 Biederman氏らは、スタチン未投与であることを確認した進行性頸動脈疾患患者27人(狭窄率50%以上、平均狭窄率64±21%)の頸動脈プラークを1.5テスラMRIを用いて解析した。
 
 対象者にはシンバスタチン単独、あるいはシンバスタチンとエゼチミブ併用による治療が行われ、治療開始前と治療1年後の頸動脈プラークの変化が比較された。評価項目は、プラークが存在する血管壁の2次元および3次元画像に基づく、脂質蓄積、線維性被膜、血管外壁、血管壁、内腔の変化とした。加えて、プラーク解析ソフトであるQPlaque(Medis社、オランダ)を用いてプラークの形質も評価された。
 
 QPlaqueは、心臓MRIのT1、T2、およびPD画像からプラーク形態の構成要素を認識し、画像として描出する。脂質コアおよび血管内腔の輪郭は、T2画像で確認・特定した。
 
 対象患者の頸動脈プラーク画像(2mmスライス厚)は治療開始前と1年後に、それぞれ707スライス撮影された。ベースライン時の撮影で、42の両側性プラークが特定され、そのうち39がMRIより明瞭に描出された。両側性プラークを認めた患者の平均年齢は68±15歳だった。

 対象の治療前のコレステロール値は、LDL-Cが60〜189mg/dL(平均142)、HDLコレステロール(HDL-C)は23〜71 mg/dL、トリグリセライド(TG)は80〜214 mg/dLだった。血管壁に占める脂肪蓄積部位の面積比は30±4%、線維化プラークは同様に9±22%だった。

 スタチンによる1年間の治療後、患者検体707標本のうち329標本(46.5%)で退縮を認め、378標本(53.5%)では進展を認めた。退縮例では、血管外壁、血管壁、線維化プラーク、内腔で有意な退縮を認め(いずれもP<0.0001)たが、内腔面積も減少した。

 一方、進展例では、内腔面積以外で有意な進展を認め(各P<0.0001)、内腔面積は縮小と拡大に分かれた。LDL-Cの4分位による解析では、LDL-Cは内腔面積の変化率と有意ではないが相関傾向を示し、内腔径とLDL−C変化率は有意な正の相関を示した(P<0.02)。

 以上の結果から、スタチン療法未治療患者においては、脂質を調整するスタチンなどの投与初期に内腔面積には“逆説的”な影響を与える可能性が示唆された。逆説的とは、血管壁面積と脂質蓄積の減少とともに内腔面積も減少したこと、あるいはその逆の変化を示す。Biederman氏は「これらの結果はすべて、LDLの変化率の影響と考えられる。プラーク組成の変化における不均一性も、LDLのコントロールによって解決されるのではないか」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)