オランダSt. Antonius HospitalのLucas Boersma氏

 外科的アブレーション(SA)は、カテーテルアブレーション(CA)無効となる可能性が高い心房細動患者では、CAよりも好ましいことが明らかになった。オランダSt. Antonius HospitalのLucas Boersma氏らが、フロリダ州オーランドで開催された第84回米国心臓協会・学術会議(AHA2011)で報告した。

 CAは抗不整脈薬に抵抗性の心房細動に対して有効だが、焼灼後の再発率は低くない。そこで、CAと胸腔鏡下手術による低侵襲SAの有効性および安全性を直接比較するため、初めてのランダム化比較試験FASTが実施された。オランダおよびスペインの2施設で2007年7月から2011年7月までに、対象者129人をCA群(66人)あるいはSA群(63人)に無作為に割り付け、12カ月間追跡した。最終的な解析対象はCA群が63人、SA群が61人だった。

 本試験の対象は、12カ月以内に薬剤抵抗性心房細動と判定され、症状が1年を超えて持続し、CA無効の可能性が高いと予測された患者。なお、CA無効の可能性については、高血圧を合併し左房径が40〜44mm超、左房径が45mm以上、カテーテルアブレーション無効例を1つでも満たすか否かで判定した。

 患者背景をみると、年齢は両群とも56歳、過去のCA無効症例はCA群が60.3%、SA群が73.8%、高血圧を伴う左房拡張例(40〜44mm)がそれぞれ23.8%、13.1%、左房径が45mm以上の症例が15.9%、13.1%。また、発作性心房細動が58.8%、73.8%、持続性心房細動が41.2%、26.2%であった。

 有効性評価の主要エンドポイントである12カ月後の抗不整脈薬非投与下における30秒以上の持続的な左房不整脈の消失率は、CA群が36.5%、SA群が65.6%と、SA群が有意に高かった(P=0.0022)。また、抗不整脈投与下においても12カ月後の消失率は順に42.9%、78.7%と、SA群が有意に高率だった(P<0.0001)。6カ月での消失率は44.4%、67.2%と、SA群が有意に高かった(P=0.0178)。

 心房細動のタイプ別にみると、発作性心房細動ではSA群の方が12カ月後の消失率が有意に高かったが(35.1% vs. 68.9%、P=0.0047)、持続性心房細動では有意差は認められなかった(36% vs. 56%、P=0.3411)。

 安全性評価の主要エンドポイントである12カ月後の重大な有害事象の発現率は、CA群が12.7%、SA群が11.5%と、両群間に差はなかった。一方、手技上の有害事象の発現率はCA群が3.2%に対し、SA群が23.0%と、SA群で有意に高かった(P=0.001)。

 これらの結果からBoersma氏は、「左房拡張を有する、あるいはCAが無効だった心房細動患者では、CAに比べて低侵襲なSAが有効であった」と結論した。

 ディスカッサントである米国Cleveland ClinicのA. Marc Gillinov氏は、「SAは手技に関する有害事象の発現率が高いものの、CAの有効性が期待できないと考えられる症例では、SAを考慮すべきである」とコメントした。

(日経メディカル別冊編集)