イタリアUniversity of MilanoのMarco Guazzi氏

 ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬シルデナフィルが、軽度から中等度の肺高血圧症を伴う心不全患者の肺血行動態と運動耐容能を、収縮不全型、拡張不全型のいずれの心不全においても長期的に改善することが、24カ月間のプラセボ比較試験の成績で明らかになった。11月16日までフロリダ州オーランドで開催されていた第84回米国心臓協会・学術集会(AHA2011)で、イタリアUniversity of MilanoのMarco Guazzi氏らが発表した。

 Guazzi氏らの研究グループは、Venice分類の第2群肺高血圧症(左心系疾患に関連する)を合併する心不全患者に対するシルデナフィルの24カ月投与が肺血行動態や運動耐容能に及ぼす長期効果を評価するために無作為割付プラセボ比較試験を実施した。

 対象は、最適な治療を受けて症状が安定している、肺動脈収縮期圧(PASP)が36〜60mmHgの第2群肺高血圧症を合併する心不全患者(NYHAクラスII〜III)とした。心不全には、左室駆出率(EF)が低下している心不全(HFrEF:収縮不全型心不全)とEFが保持されている心不全(HFpEF:拡張不全型心不全)の両方を含め、心不全のタイプの違いによる効果の差異も検討した。

 試験の最初の12カ月は二重盲検下で、後半12カ月はオープンラベル試験として行った。シルデナフィル群にはシルデナフィル40mgを1日3回投与した。投与前、6カ月、12カ月、18カ月および24カ月の時点で、運動負荷試験による心肺機能評価と心エコー検査を実施し、EF、PASP、最大酸素摂取量(VO2)および分時換気量/二酸化炭素排出量(VE/VCO2)勾配を評価した。

 解析対象となったHFrEF患者は52人(シルデナフィル群36人、プラセボ群16人)で平均EFはそれぞれ34±7%と33±7%、HFpEF患者は33人(シルデナフィル群11人、プラセボ群22人)で平均EFは56±7%と54±6%だった。

 HFrEF患者、HFpEF患者のいずれにおいても、シルデナフィル群ではプラセボ群と比較して12カ月後、24カ月後の最大VO2が有意に増加し、VE/VCO2勾配およびPASPは有意に低下した(いずれもP<0.01)。EFはHFrEF患者のみで増加した。

 また、HFpEF患者におけるPASPの低下幅は、12カ月後、24カ月後ともに、HFrEF患者よりも有意に大きかった(P<0.05)。

 2年間の経過観察中に死亡例はなく、心不全悪化のために入院したのはHFrEF患者が9人(プラセボ群6人、シルデナフィル群3人)、HFpEF患者が7人(プラセボ群5人、シルデナフィル群2人)だった。

 Guazzi氏は「軽症から中等症の第2群肺高血圧症を伴う心不全患者において、シルデナフィルによるPDE5阻害は、肺血行動態、PASP、運動耐容能および換気効率を持続的に改善した。HFrEF、HFpEFのいずれの心不全にも効果を認めたが、HFpEFの方がより有益性が高いと思われる。シルデナフィルのこれらの効果には、EFではなくPASPの改善が関与していると考えられる」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)