米国University of Alabama at BirminghamのAmiya A. Ahmed氏

 学歴にかかわらず、低収入高齢者心不全発症および死亡の独立した有意な危険因子であることが、大規模コホート研究のデータ解析によって明らかになった。フロリダ州オーランドで開催された第84回米国心臓協会・学術集会(AHA2011)で、米国University of Alabama at BirminghamのAmiya A. Ahmed氏が発表した。

 心不全発症と学歴の低さはある程度相関することが複数の研究で示されているが、収入との関連ははっきりしていない。

 このためAhmed氏らは、65歳以上の高齢者を対象として冠動脈疾患および脳卒中の危険因子を検証している米国のコホート研究(Cardiovascular Health Study)のデータを米国立心肺血液研究所(NHLBI)から入手し、学歴および収入と心不全発症との関連について再解析を行った。

 同氏らはまず、メディケア受給資格のある高齢者5411人のうち、登録時に心不全の既往のなかった5153人のデータを抽出。その上で、彼らを学歴(高卒までを低学歴と定義)と収入(年間世帯収入2万5000ドル未満を低収入と定義)に応じて、「高学歴・高収入」(1343人)、「低学歴・高収入」(662人)、「高学歴・低収入」(885人)、「低学歴・低収入」(2263人)の4群に分けた。評価アウトカムは、13年間の追跡期間における心不全発症と総死亡とした。

 解析対象者5153人の平均年齢は73±6歳であり、男性が43%で女性が57%、アフリカ系アメリカ人が15%だった。

 コックス回帰モデルを用い、「高学歴・高収入」群を基準として、他の3群における心不全発症と総死亡のハザード比を算出したところ、心不全発症については、「低学歴・高収入」群が1.00(95%信頼区間[CI]0.80-1.26、P=0.969)、「高学歴・低収入」群が1.43(1.19-1.73、P<0.001)、「低学歴・低収入」群が1.52(1.30-1.77、P<0.001)であり、学歴にかかわらず低収入者の発症リスクが有意に高かった。

 総死亡についても、「低学歴・高収入」群がハザード比1.14(95%CI 0.99-1.32、P=0.094)、「高学歴・低収入」群が1.49(1.31-1.69、P<0.001)、「低学歴・低収入」群が1.56(1.40-1.74、P<0.001)で、同じく低収入者のリスクが有意に高かった。

 以上の解析を、年齢・性別・人種の3つの因子に関する調整や、さらに多数の因子を含めた調整を施した後に行った場合にも、同様の結果が得られた。

 Ahmed氏は、「今回の対象者はメディケア加入者であったものの、学歴レベルにかかわらず、低収入は高齢者の心不全発症および総死亡の独立した有意な危険因子であることが示された。今後、メディケア加入者の収入格差が健康状態の差異をもたらすメカニズムやその克服手段の研究が必要だ」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)