米国QTetst LabsのCarlos L. del Rio氏

 VPAC2受容体に作用する新規血管作動性腸管ペプチド(VIP)関連薬であるPB1046(海外での製品名「Vasomera」)は、高血圧モデルラットを用いた検討から、PB1046が単独で有意な降圧効果が得られ、他の降圧薬との併用時には相乗的な降圧効果が得られることが示された。米国QTetst LabsのCarlos L. del Rio氏が11月12日から米国フロリダ州オーランドで開催された第84回米国心臓協会学術会議(AHA2011)で報告した。

 PB1046は新規に開発されたVPAC2受容体アゴニストで、生体内での安定性を高めるために生理的に不活性なエラスチン様ペプチド(ELP)のN末端にVIPを結合した634アミノ酸残基からなる合成ポリペプチド。選択的にVPAC2受容体に結合し、長時間にわたり強力な血管拡張作用を示すことがこれまでの研究で示されている。

 本研究では、雄の自然発症高血圧ラット(SHR)を用い、PB1046の用量反応性、一般的な降圧薬との併用効果、反復投与時に血圧および心電図所見に及ぼす影響、心機能およびエネルギー代謝に及ぼす影響について検討した。

 まず、用量反応性試験ではSHRに1、3、9mg/kgのPB1046を投与した。その結果、PB1046は用量依存性に血圧を低下させ、9mg/kg投与時には平均血圧は188mmHgから171mmHgへと9%有意に低下し(p<0.05 vs 投与前)、降圧効果が最大となった投与6時間後には平均血圧は16%低下した(p<0.05 vs 溶媒対照)。また、9mg/kg投与時には心拍数は有意に低下したが、1mg/kg投与時には心拍数への影響はみられなかった。

 次に併用試験では、SHRにβ遮断薬(アテノロール)、Ca拮抗薬(アムロジピン)、ACE阻害薬(ramipril)のいずれかを7日間投与し、その後9mg/kgのPB1046を追加投与した。その結果、平均血圧はβ遮断薬では14%、Ca拮抗薬では13%、ACE阻害薬では9%、さらに低下した(いずれもp<0.05 vs併用前)。

 反復投与試験では9mg/kg/日のPB1046を6日間連日投与した。その結果、投与初日に血圧は190mmHgから169mmHgに11%低下し、心拍数は11%上昇した(いずれもp<0.05)。その後、降圧効果は持続したが、心拍数は投与5日目にはベースライン値にまで低下した。なお、PB1046は反復投与してもQA間隔には影響を及ぼさなかった。

 またSHRに9mg/kgのPB1046を投与し、6時間または24時間後の心機能およびエネルギー代謝に及ぼす影響を検討した。その結果、PB1046の投与により、収縮終期圧・容量関係(ESPVR)や前負荷動員一回仕事量(PRSW)は有意に上昇したが、収縮期圧・容積面積(PVA)や一回仕事量(SW)は有意に低下した。このことからPB1046は心負荷を増大させずに心筋の収縮性を改善すると考えられた。

 以上の検討からdel Rio氏は、「新規VPAC2受容体アゴニストであるPB1046は強力な血管拡張作用を有し、高用量では一過性に心機能を亢進させるが、酸素需要を増やさずに心機能を維持することができる」と述べ、「PB1046を一般的な降圧薬と併用することで長時間にわたる血圧コントロールのシナジー効果が得られる」と締めくくった。