オランダUniversity Medical Center UtrechtのJan Westerink氏

 メタボリックシンドロームを有する肥満患者の空腹時/脂質負荷後の脂質と血糖、および内皮機能に対するシンバスタチン+エゼチミブの改善効果は、シンバスタチン80mgと同等──100例を登録した国際多施設・無作為化二重盲検クロスオーバー試験によって明らかになったもので、オランダUniversity Medical Center UtrechtのJan Westerink氏らが、フロリダ州オーランドで開催された米国心臓協会・学術集会(AHA2011)で報告した。

 低用量スタチンと小腸コレステロール吸収阻害薬であるエゼチミブの併用は、高用量スタチン療法と同程度にまで血清LDLコレステロール(LDL-C)値を低下させることが知られている。スタチンによる脂質低下は空腹時の内皮機能障害改善につながることが知られているが、エゼチミブ+低用量スタチンが、内皮機能障害に対して、高用量スタチンと同様の効果を有するかどうかは明らかではなかった。

 そこで本研究では、脂質や内皮機能に対するエゼチミブ+低用量スタチンの効果を、空腹時と脂肪負荷4時間後において高用量スタチンと比較した。

 対象は、メタボリックシンドロームを有する18-79歳の肥満患者で、ウエスト周囲径が102cm超(男性)、88cm超(女性)、LDL-C値が2.59-5.68mmol/L、トリグリセライド(TG)値<4.52mmol/Lで、脂質低下薬、降圧薬、あるいは血管作動薬を投与している患者とした。喫煙者または喫煙歴が10箱/年超の患者、およびスクリーニング時に内皮機能の測定が不能だった患者は除外した。

 スクリーニングした389人のうち登録基準を満たした100例を、2週間の観察期間(ラン・イン)の後、エゼチミブ10mg/日+シンバスタチン10mg/日、またはシンバスタチン80mg/日に無作為割り付けして6週間治療し、その後6週間のウォッシュアウト期間を経て、もう一方の治療へとクロスオーバーさせた。

 試験開始時と個々の治療終了時に、空腹時および経口脂質負荷後における血流依存性血管拡張反応検査(FMD:Flow Mediated Dilation)と、血管内皮反応測定(EndoPAT:Peripheral Arterial Tonometry ) により、内皮機能評価と血漿脂質の測定を行った。

 評価対象は1回以上被験薬を服用し、無作為化後の解析を1回以上行うことができた93人である。ベースラインの患者属性は、男性59%、年齢57±9歳、BMI 30.0±2.7kg/m2、ウエスト周囲径105.4±8.1cm、収縮期血圧140±14mmHg、拡張期血圧85±9mmHg、HDLコレステロール値1.26±0.37mmol/L、TG値 1.76(1.19-2.24)mmol/L、グルコース5.51±0.50mmol/Lだった。

 治療後の空腹時LDL-Cは、エゼチミブ+シンバスタチン群で1.81±0.03mol/L、シンバスタチン群で1.79±0.03mmol/Lと差がなかった。他の脂質パラメータや血糖についても有意な差は認められなかった。また、脂質負荷4時間後の脂質、血糖も、両群に差はなかった。

 この点についてWesterink氏は、「本試験において、エゼチミブ+低用量シンバスタチンと高用量スタチンの比較が、LDL-Cに対して同等の効果を示す条件で比較されたとみなすことができる」と指摘した。そして、この条件のもとで、空腹時と脂質負荷4時間後、および治療前後の内皮機能の変化を評価した結果、いずれも両群で同等だった。

 同氏は、「エゼチミブ+シンバスタチン10mg/10mg は、同等の脂質レベルにおいて、メタボリックシンドロームを有する肥満者の空腹時および食後の内皮機能に対して、シンバスタチン80mgと同等の効果を及ぼす」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)