米国Johns Hopkins Medical InstitutionsのThomas Aversano氏

 虚血性心疾患の治療法として経皮的冠動脈インターベンションPCI)は世界各国で広く行われている。ガイドラインでは心臓外科のある施設で行うことを推奨しているが、実臨床では心臓外科のない施設でも行われている。その違いがPCIの予後や医療経済性、患者の生活の質(QOL)に影響するかを検討したランダム化比較試験「CPORT-E trial」から、心臓外科の有無はPCIの成功率と安全性に大きな影響を与えないことが明らかになった。11月16日までフロリダ州オーランドで開催されていた第84回米国心臓協会・学術集会(AHA2011)で米国Johns Hopkins Medical InstitutionsのThomas Aversano氏が、その結果を発表した。

 米国のガイドラインでは、PCIは心臓外科のある施設(surgery on site:SOS施設)で行うことを推奨しているが、実際には心臓外科のない施設(no-SOS施設)でも行われている。だが、このような施設の違いがPCIの予後に及ぼす影響は、十分に検討されていなかった。

 本試験の対象は、冠動脈に50%以上の狭窄があり、すべての病変へのPCI(non-primary PCI)がno-SOS施設でも施行可能と判定された、18歳以上の1万8496例。対象患者はno-SOS群とSOS群に、3対1の割合で無作為に割り付けられた。なお、本試験の参加施設は年間PCI施行件数が200件を超え、常時primary PCIが施行可能といった条件を満たした60施設とした。

 本試験は非劣性試験であり、主要エンドポイントとして6週間後の総死亡、9カ月後のMACE(総死亡、Q波心筋梗塞、標的血管における血行再建術再施行の複合)を評価した。

 no-SOS群(1万3981例)とSOS群(4515例)の患者背景、原因疾患(急性冠症候群が64%、安定狭心症が36%)、狭窄の病変数や左室駆出率に群間差はなかった。しかし、複数回に分けて治療を行ったstaged PCIの割合はno-SOS群が25.7%、SOS群が67.7%と、後者で有意に多かった(P<0.0001)。

 PCI後の狭窄率が20%以下かつTIMI分類でグレード3の血流が確認できた場合を手技成功と定義すると、患者単位での成功率はno-SOS群が90.8%、SOS群が91.9%、病変単位での成功率はそれぞれ93.4%、94.1%と、いずれも90%以上と良好だった。ただし統計学的には、どちらもno-SOS群の方が有意に低かった(それぞれP=0.0096、P=0.0474)。

 6週後の死亡率はno-SOS群が0.91%、SOS群が0.93%で、両群に有意差はなく(P=0.94)、あらかじめ定められた非劣性の条件を満たした。出血、血管修復、脳卒中、腎不全の発生率についても群間差はなかった。

 追跡期間中に緊急の冠動脈バイパス術(CABG)が必要となったケースはno-SOS群が0.10%、SOS群が0.22%で同等だったが、予定外のPCIが必要となったケースはno-SOS群が2.11%、SOS群が1.32%と、no-SOS群で有意に多かった(P=0.001)。

 以上の結果からAversano氏は、「心臓外科がない施設でもnon primary PCIは安全に施行でき、死亡を含めた有害なイベントの発生リスクは心臓外科のある施設と変わらなかった」と結論した。長期成績などについては、2012年の早い段階で報告する予定という。

(日経メディカル別冊編集)

【訂正】
 2012年3月27日に以下を訂正しました。
 タイトルが、「心臓外科のない施設でPCIを行っても6カ月予後は同等」でしたが、正しくは「心臓外科のない施設でPCIを行っても6週間予後は同等」でした。訂正済みです。