米国Cornell Medical CenterのPeter M. Okin氏

 高血圧患者において、新たな心房細動(AF)の発生が心突然死(SCD)リスクの上昇と関連していることが示された。LIFE試験のサブ解析によって示されたもので、フロリダ州オーランドで開催中の米国心臓協会・学術集会(AHA2011)で、米国Cornell Medical CenterのPeter M. Okin氏が報告した。

 AF頻度については、(1)一般人と心筋梗塞(MI)後の患者における死亡リスク、(2)植え込み型除細動器(ICD)を使用の患者において、心室細動に対するデバイスによる治療を要するリスク、(3)進行心不全患者における心突然死(SDC)リスクと関連していることが知られている。しかし、高血圧患者における新規AF発症によってSCDリスクが増大するかどうかについては、明らかでなかった。

 今回、Okin氏らは、LIFE 試験(The Losartan Intervention For Endpoint reduction in hypertension )に登録された心電図上の左室肥大(ECG LVH)(QRS幅×Cornell voltage product [RaVL+SV3、女性においては6mm追加]>2440mm・ミリ秒またはSokolow-Lyon voltage [SV1 +RV5/V6]>38mm)を有する高血圧患者9193人のうち、AF既往がなく、試験開始時において同調律だった8831人(女性4809人、男性4022人、平均年齢67±7歳)について、新規AF発症とSCDリスクとの関係を解析した。

 AFはECGコアラボでミネソタコードを用いて同定、または研究者らによる副作用報告に基づき判定し、SCDは症状発生後24時間以内の心臓死とし、専門家によるエンドポイント委員会で確認した。

 追跡期間平均4.8±0.9年において、701例(7.9%)の患者でAFが発生し、151例(1.7%)でSCDが発生した。SCDはAFを認めた患者において、認めなかった患者と比較して有意に頻度が高かった(3.6% 対 1.5%、P<0.001)。

 AFの頻度とSCDリスクとの関係については、試験開始時とその後の心拍数(HR)、Cornell product、Sokolow-Lyon voltage、QRS幅、収縮期/拡張期血圧、AF頻度とMIを時間依存性共変量、治療群と他のSCDリスク因子を共変量とするCox比例ハザードモデルを用いて検討した。また多くのSCDリスク因子はAFリスク因子でもあるため、二項ロジスティック回帰解析を行ってAFに対する傾向スコアを決定し、Cox多変量解析においてこれを共変量の1つに加えた。

 新規AF発症例はAFを発症しなかった患者と比較して、やや高齢で、女性の割合とアフリカ系人種の割合が低く、糖尿病合併率、虚血性心不全/MI/脳卒中/心不全の既往が多く、ロサルタンを投与されていた患者割合が低く、総コレステロールがわずかに低く、尿中アルブミン/クレアチニン比が高かった。最も大きな臨床的特徴の違いは、追跡期間中のMI発症頻度が非常に高かったことである(3.5%対12.0%、P<0.001)。

 また新規AF発症例ではAF非発症群と比較して、試験開始時からAF発生時または最終測定までの収縮期血圧の低下は有意に大きかったが(−29.2mmHg 対 −33.7mmHg、P<0.001)、拡張期血圧の低下は同程度で(−17.1mmHg 対 −17.3mmHg、P=0.572)、Cornell productの低下は有意に少なく(−204 mm・ミリ秒 対 −103 mm・ミリ秒、P=0.018)、Sokolow-Lyon Voltageの変化は同程度だった(−3.8mm 対 −4.2mm、P=0.292)。

 単変量Cox解析において、新規AF発症を時間依存性共変量とすると、SCDリスクは113%上昇していた (HR=2.13、95%信頼区間:1.31-3.44、P=0.002)。割り付けられた治療群、年齢、性別、人種、BMI、糖尿病、心不全/MI/虚血性心疾患/脳卒中/末梢神経疾患の既往、喫煙、総コレステロールおよびHDL コレステロール、クレアチニン、血糖、尿中アルブミン/クレアチニン比を補正し、MI頻度、治療中の心拍数、拡張期および収縮期血圧、Cornell product、Sokolow-Lyon voltageを時間依存性共変量とした多変量解析でもなお、AFの新規発症は、SCDリスクの74%上昇と関連していた。

 Okin氏は、「新規AF発症は、高血圧患者において、治療効果、治療中の血圧、確立された予測因子である治療中のECG LVH やHRとは独立にSCDリスクを増加させる」と結論した。そして、AFがリスクマーカーであるのか、あるいはSCDに対するリスク因子であるのか、またこれらの患者において何らかの治療を加えることで、SCDリスクを低下させることが可能かどうかについて、今後さらに検討が必要であるとの見解を示した。

(日経メディカル別冊編集)