アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)ロサルタンが、心房細動(AF)を有する高血圧患者において、用量依存的な抗血小板効果を示すことが明らかになった。動脈硬化性疾患や血栓塞栓症のリスクを有する高血圧患者にとっては望ましい特徴だ。済生会熊本病院循環器内科の坂本知浩氏が、フロリダ州オーランドで開催された米国心臓協会・学術集会(AHA2011)で報告した。

 ロサルタンはこれまでにも、実験的に抗血小板作用、抗凝固作用、線溶系亢進作用といった特性を有することが報告されてきた。また、左室肥大を有する高血圧患者に対し、β遮断薬と比較して心血管イベント低下作用を示したLIFE試験のサブ試験で、AFを有する患者における有効性が特に高いことが明らかにされている。

 今回、坂本氏らは、血栓リスクが高い患者におけるロサルタンの抗血小板効果を評価すべく、AFを有する高血圧患者20例に対してロサルタンを投与(50mgを8週間、次いで100mgを4週間)し、治療前、治療開始後8週、12週における血液標本を用いて、血小板凝集能、活性化された血小板の表面に新たに出現する分子で血小板活性化マーカーとして知られるCD62P(Pセレクチン)陽性の血小板細胞(CD62P+血小板)、凝固因子である組織因子(TF)、von Willebrand因子(vWF)、線溶系を阻害するプラスミノーゲン活性化抑制因子(PAI-1)、血小板活性化マーカーP-セレクチンなどの変化を調べた。

 試験開始時の血圧は156/97mmHg、ロサルタン投与後8週には147/89mmHg、12週後140/84mmHgへと低下した。またロサルタンは用量依存的に血小板活性を抑制し、線溶能および凝固蛋白も、より血栓形成性が低下する方向へと変化させた。

 今回評価した主なパラメータの変化は以下のとおり(いずれも治療前→8週後(治療前との比較でのP値)→12週後(治療前との比較でのP値)。組織因子(TF):14.2ng/mL→10.9ng/mL(P<0.05)→12.9ng/mL(P<0.05)、vWF:170.3%→166.9%(NS)→177.4%(NS)、PAI:11.7IU/mL→12.3IU/mL(NS)→8.5IU/mL(P<0.05)、P-セレクチン:72.1ng/mL→48.4ng/mL(NS)→55.2ng/mL(P<0.05)、CD62P+血小板:5.8%→3.4%(P<0.05)→2.8%(P<0.001)。

 坂本氏はこれらの結果から、「ロサルタン服用は、動脈血栓形成リスクの高い高血圧患者の治療において有益な可能性がある」と結論した。また作用機序について既報から、「ロサルタンとその代謝物のヒドロキシルラジカルを含むイミダゾール環の存在が重要と考えられる」とし、この作用がARBのクラス効果ではなく、ロサルタンに特有であることを示唆すると言及した。

(日経メディカル別冊編集)