オランダErasmus Medical CenterのRobert-Jan van Geuns氏

 ABSORB Cohort B試験は、エベロリムス溶出性の生体吸収性スキャフォールド(bioresorbable vascular scaffold:BVS)の有効性と安全性を検討する第2相試験である。11月16日までフロリダ州オーランドで開催されていた第84回米国心臓協会・学術会議(AHA2011)において、同試験を代表してオランダErasmus Medical CenterのRobert-Jan van Geuns氏が、留置2年後までの追跡で、BVS留置部位の血管内腔が良好に維持されていることを報告した。

 BVSのプラットフォームは生体吸収性の材質で、冠動脈に留置すると徐々に代謝・吸収され、最終的には完全に分解されて消失する。こうした特性を持つ薬剤溶出性BVSは従来の金属製プラットフォームを有する薬剤溶出性ステントに比べて、遠隔期の血管内腔損失(late lumen loss)が生じにくい。ただし、第1世代として開発された「ABSORB BVS 1.0」は6カ月後に血管内腔が狭まってしまう傾向が見られたため、プラットフォームを改良し血管支持強度を高め、血管内での支持期間を延長するようにした第2世代の「ABSORB BVS 1.1」が開発された。今回用いられたのは第2世代のABSORB BVS 1.1で、6カ月後の血管内腔損失は第1世代の0.43mmに比べて0.19mmと、さらに成績が向上していることが示されている。

 ABSORB試験は複数の試験から構成され、ABSORB Cohort B試験は2年間のフォローアップ期間の有効性と安全性について検討するもの。本試験は欧州、オーストラリア、ニュージーランドの12施設で実施されたオープンラベルのプロスペクティブ試験であり、2009年3月〜11月の期間に101例が登録された。

 今回の解析対象はそのうち45例で、ABSORB BVS 1.1の留置から2年間フォローアップされた44例を対象にMACE(心臓死、心筋梗塞、血行再建術再施行の複合エンドポイント)の発生率を調べ、さらに44例のうち光干渉断層計(OCT)検査を受けた28例を対象にBVS留置領域の血管内腔を評価した。

 45例の背景については、男性比率が73%、平均年齢が65歳。また、心筋梗塞の既往が36%、糖尿病が13%、高コレステロール血症(治療中)が93%、高血圧(治療中)が60%、喫煙者が11%であった。病変部位は、左前下行枝(LAD)が38%、右冠動脈(RCA)が36%、左回旋枝(LCX)が24%などで、病変分類はB1とB2で95%を占めた。なお、デバイス留置成功率は100%、手技成功率は98%であった。

 2年後のフォローアップでは、心臓死は認められず、非Q波心筋梗塞が1例で発生し、PCI再施行が2例で行われたため、MACEの発生は3例(6.8%)だった。なお、スキャフォールド血栓症(ARC定義)の発生は認められなかった。

 また、OCTを用いた観察では、BVS留置部位の血管内腔は2年間にわたり安定して維持されること、BVSは想定されていたとおり吸収が進んでいること、血管内膜の過形成は最低限に留まっていることが確認された。

 以上の検討からvan Geuns氏は、「BVS留置2年後のMACEの発生率は6.8%と低く、金属製のプラットフォームを持つ従来のエベロリムス溶出性ステントの治療成績と同等であった。また、BVSは想定通り吸収が進んでいるが、BVS留置領域の血管内腔は安定して維持されていた」と結論した。

 ディスカッサントである米国University Hospitals Case Medical CenterのMarco Costa氏は、BVSでは留置後にデバイスが破損するリスクがあることを指摘しつつも、「その有効性と安全性は優れており、いまや薬剤溶出性の金属製ステントとの直接比較試験を行うときである」とコメントした。

(日経メディカル別冊編集)