米国Harvard Medical SchoolのDharam J. Kumbhani氏

 動脈硬化性疾患の患者を長期に追跡した国際共同研究であるREACHレジストリーの解析から、ベースラインおよび追跡1年後における2次予防薬の服薬率は50%に達していないこと、服薬率が低いと予後は悪化することが明らかになった。11月12日からフロリダ州オーランドで開催されている第84回米国心臓協会・学術集会(AHA2011)で、米国Harvard Medical SchoolのDharam J. Kumbhani氏らが報告した。

 冠動脈疾患(CAD)、脳血管疾患(cerebrovascular diseases:CVD)、末梢動脈疾患(PAD)などの動脈硬化性疾患を有する患者の2次予防において、抗血小板薬、スタチン、降圧薬、β遮断薬などの有効性を実証したエビデンスは多数ある。にもかかわらず、これらの薬剤の服薬率は必ずしも高いとはいえない。

 REACHレジストリーでは、心血管イベントのリスク因子を3つ以上有する45歳以上の患者とCAD、CVD、PADの患者を登録した。今回の解析では、4年目までのデータが追跡できた症例を対象にした。主要エンドポイントは、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合とした。

 解析対象は3万7154例で、そのうちCAD単独例は1万9799例(53.3%)、CVD単独例は3749例(10.1%)、PAD単独例は2420例(6.5%)、これら3疾患の合併例は720例(2.7%)だった。

 2次予防における有効性が実証されている薬剤(2次予防薬)の服用率は、ベースラインでは46.7%、1年後でも47.2%にとどまった。疾患別では、ベースラインでは安定狭心症の46.3%が最も低く、PADの57.3%が最も高かった。また1年後では、脳卒中の46.4%が最も低く、PADの58.2%が最も高かった。

 2次予防薬を服用していないことが主要エンドポイントに及ぼす影響について、性別、年齢、喫煙状況、糖尿病合併、体重指数(BMI)、虚血性疾患の発生時期、血管疾患の罹患数、うっ血性心不全、心房細動/粗動、居住地域を補正因子とした多変量Cox回帰モデルを用いて解析した。

 その結果、4年後における2次予防薬を服用していない患者の主要エンドポイント発生リスクは、服用している患者に比べ、ベースラインでは26%(P=0.0015)、1年後では33%(P=0.0009)、それぞれ有意に高くなっていた。

 また、ベースライン、1年後の服薬は、どちらも4年後の予後の独立した予測因子となっており、ベースラインと1年後ともに2次予防薬を服用していた患者の予後が最も良好だった。

 これらを踏まえKumbhani氏は、「2次予防薬の使用を開始すればリスクは低下し、使用を中止すればリスクは上昇する。そして、全く使用しなければリスクは最も高くなる」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)