米国Cleveland ClinicのWael AlJaroudi氏

 体重指数BMI)の増加によって、心臓には物理的な負荷にとどまらず神経内分泌的な悪影響も及ぶと考えられている。米国Cleveland ClinicのWael A Jaber氏らによる左室駆出率(LVEF)正常例を対象とした検討から、BMIの増加と心拡張機能の悪化には関連が認められることが明らかになった。11月12日からフロリダ州オーランドで開催されている第84回米国心臓協会・学術集会(AHA2011)で、同研究グループのWael AlJaroudi氏が発表した。

 肥満は先進国だけでなく発展途上国においても、大きな社会問題になりつつある。肥満が心不全のリスクとなることは報告されているが、BMIの増加が心機能に及ぼす影響については、十分に検討されていなかった。そこで今回、収縮機能と拡張機能の相互作用をできるだけ避けるために、LVEF正常例を対象にした検討が行われた。

 解析対象は、同施設のデータベース登録例で、1996年1月〜2005年12月に外来で心エコー検査を実施し、LVEFが55%以上の2万1666例とした。その背景は、年齢57±15歳、女性55%、BMI 29±7.5kg/m2、高血圧合併率15%、糖尿病合併率13%などだった。

 対象集団をBMIによって、20kg/m2未満、20〜25kg/m2、25〜30kg/m2、30〜35kg/m2、35kg/m2超の5群に層別化し、心エコー所見から各群における拡張機能不全症例の占める割合を求めた。拡張機能不全の程度は、正常(ステージ0)、軽度不全(ステージ1)、中等度不全(ステージ2)、pseudonormal patternあるいは重度不全(ステージ3)に分類した。

 BMIで層別化した各群における拡張機能正常者の割合は、BMIが低い群から、それぞれ56.96%、45.41%、36.34%、32.56%、31.89%と、BMIの増加に伴って低下していた。また、BMIが高値の群ほど、心不全の重症度が高い患者の割合が増加した。

 このようなBMIの増加と心拡張機能悪化との関連は、50歳代、60歳代、70歳代のいずれの年代でも認められた。

 Jaber氏らの研究グループは、「本研究は単施設での検討という限界はあるものの、LVEF正常例において、BMIの増加は心拡張機能悪化の独立したリスク因子だった」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)