米国Beth Israel Deaconess Medical CenterのC. Michael Gibson氏

 ATLAS ACS 2-TIMI 51は、急性冠症候群(ACS)に対する第Xa因子阻害薬rivaroxabanの主要心血管イベント抑制効果を検討した大規模臨床試験で、44カ国766施設で実施された。今回、米国Beth Israel Deaconess Medical CenterのC. Michael Gibson氏らは、抗血小板療法に対するrivaroxabanの併用は、ACS患者の心血管イベントの2次予防に有効であることを示し、その詳細を11月12日からフロリダ州オーランドで開催されている第84回米国心臓協会・学術会議(AHA2011)で報告した。

 本試験の対象は、急性心筋梗塞、不安定狭心症といったACSを発症後7日以内で、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)などの初期治療により症状が安定していた1万5526例。出血リスクが高い症例、ワルファリン使用例、頭蓋内出血既往例、アスピリン+チエノピリジン系薬を服薬中の脳卒中既往例は対象から除外した。

 対象はいずれも、各国のガイドラインに準じたアスピリン75〜100mg/日±チエノピリジン系薬による抗血小板療法を受けた上で、プラセボ群(5176例)、rivaroxaban 2.5mg群(5174例)、同5.0mg群(5176例)に無作為に割り付け、2年間追跡した。

 有効性の主要評価項目は、心血管死亡、心筋梗塞、虚血性および出血性などを含めた脳卒中とし、安全性評価項目は冠動脈バイパス術(CABG)に関連しないTIMI大出血の発生とした。

 対象の平均年齢は3群とも約62歳、男性比率は約75%、心筋梗塞既往例は約27%、糖尿病合併例は約32%だった。ACSの内訳はST上昇型心筋梗塞が約50%を占め、非ST上昇型心筋梗塞および不安定狭心症がそれぞれ約25%を占めた。また、約93%に抗血小板薬の2剤併用療法が行われていた。なお、患者背景に群間差はなかった。

 有効性に関する群間比較は、まずプラセボ群とrivaroxaban群(用量の異なる2群を統合)間で行った。その結果、主要評価項目の累積発症率はプラセボ群が10.7%、rivaroxaban群が8.9%で、rivaroxaban群が有意に低かった(ハザード比0.84、95%信頼区間[CI]:0.74-0.96、modified ITT[mITT]ではP=0.008、ITTではP=0.002)。また、ステント血栓症の累積発症率もrivaroxaban群で有意に低かった(ハザード比0.69、95%CI:0.51-0.93、mITTではP=0.016、ITTではP=0.008)。

 rivaroxabanの用量別解析では、5mg群では主要評価項目の発生リスクはプラセボ群に比べて有意に低下したが(ハザード比0.85、P=0.028)、心血管死亡のリスクには群間差は認められなかった。

 一方、rivaroxaban 2.5mg群ではプラセボ群に比べて、主要評価項目(ハザード比0.84、P=0.020)、心血管死亡(ハザード比0.66、P=0.002)、全死亡(ハザード比0.68、P=0.002)が有意に低下し、この結果は抗血小板薬の2剤併用療法の実施例に限定しても同様であった。

 安全性については、CABGに関連しないTIMI大出血の発現率はプラセボ群が0.6%、rivaroxaban 2.5mg群が1.8%(ハザード比3.46、P=0.001)、同5.0mg群が2.4%(ハザード比4.47、P=0.001)と、rivaroxaban群で有意に増加した。また、プラセボ群の頭蓋内出血率は0.2%であったが、rivaroxaban 2.5mg群では0.4%(P=0.037)、同5.0mg群では0.7%(P=0.005)と、いずれも有意に増加した。ただし、致死的出血および致死的頭蓋内出血には群間差は認められなかった。

 以上の結果からGibson氏は、「ACS例の心血管イベント抑制に、標準的抗血小板療法とrivaroxabanの併用療法は有効だ。ただし、rivaroxabanによる大出血や頭蓋内出血リスクの上昇が懸念されることから、2.5mgの1日2回投与が推奨される」と結論した。

 ディスカッサントであるカナダUniversity of AlbertaのPaul W Armstrong氏は、「ACS患者に対する抗血栓療法として何が最適なのかは今後も検討を重ねる必要があるが、今回実施した抗血小板療法と経口抗凝固薬の併用療法は新たな標準療法となる可能性がある」とコメントした。

(日経メディカル別冊編集)