急性心筋梗塞(AMI)患者を5年間追跡したデータから、発症1週間後の安静時呼吸数GRACEスコアとは独立したAMI患者の予後予測因子になることが明らかになった。11月12日からフロリダ州オーランドで開催されている第84回米国心臓協会・学術集会AHA2011)で、ドイツMedizinische Klinik der Technischen Universitat MunchenのPetra Barthel氏らが報告した。

 GRACEスコアは、年齢、左心不全の重症度、収縮期血圧、ST異常、入院時の心停止の有無、血清クレアチニン値、心筋逸脱酵素、心拍数からAMI患者の短期的な予後を評価する指標として使われている。

 今回、Barthel氏らは、安静時呼吸数がAMI患者の予後を予測できるかを検討した。対象は、80歳以下で洞調律のAMI患者、連続941例とした。

 GRACEスコアは既報の方法に従って計算し、安静時呼吸数はAMI発症から7±2日後に、胸部に電極を装着して10分間以上測定した。測定は朝に背臥位で、服薬中の薬剤を中止しないで行った。なお、主要エンドポイントは5年後の総死亡とした。

 対象患者の平均年齢は61歳(女性比率19%)で、20%が糖尿病を合併しており、10%には心筋梗塞(MI)の既往があった。左室駆出率(LVEF)は53%だった。治療として93%に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が行われており、ほとんどの患者がアスピリン、β遮断薬、ACE阻害薬、スタチンを投与されていた。

 追跡期間中の死亡は72例(7.7%)だった。死亡リスクは安静時呼吸数の増加とともに上昇し、両者には強い関連が認められた。死亡リスクをGRACEスコア(中央値110点)で層別化すると、GRACEスコア110点未満の患者群では、安静時呼吸数と死亡リスクとの間には有意な関連を認めなかったが、GRACEスコア110点以上の患者群では、安静時呼吸数が中央値の18回/分未満の患者群に比べて18回/分以上の患者群で、死亡リスクは有意に上昇した(P<0.0001)。

 Cox比例ハザードモデルによる単変量解析、多変量解析ともに、安静時呼吸数とGRACEスコアは独立したリスク因子として同定された。

 以上の結果からBarthel氏らは「GRACEスコアが高いAMI患者では、1週間後の安静時呼吸数は強い予後予測因子になることが分かった。簡単に測定できることから、AMI患者のリスク評価指標として日常的に用いてはどうか」と提案した。

(日経メディカル別冊編集)