米Kansas大学医療センターのMatthew Good氏

 ビタミンD欠乏症心血管疾患の有意なリスク因子であり、また欠乏症患者に対するビタミンD補充は著しい延命効果と関連していることが報告された。1万人余の患者を対象にした研究で明らかになったもので、米Kansas大学医療センターのMatthew Good氏(写真)らが、11月17日までシカゴで開催された第83回米国心臓協会・学術集会(AHA2010)で発表した。

 ビタミンD欠乏症は、高血圧や抹消血管疾患、糖尿病やメタボリックシンドローム、冠動脈疾患や心不全と関連している。Good氏らは今回、ビタミンD欠乏症と心血管疾患の有病率および死亡との関連を検討する一方、ビタミンD補充が延命に及ぼす影響を調べた。

 演者らは、2004年1月1日から2008年10月8日までの期間に、1万899人の患者から血清ビタミンD値を入手し、正常(30ng/mL以上)または欠乏(<30ng/mL)に分類した。これら2つの患者群を、基本的な人口統計学的変数、生理的変数、病状変数に基づき比較した。アウトカムについては、多変量ロジスティック回帰、延命、コックス比例ハザードモデルで分析した。

 対象とした患者の平均年齢は58±15歳、29%が男性であった。平均ビタミンD値は24±14ng/mLであった。被験者のうちの3234人(30%)が正常群、7665人(70%)が欠乏群だった。

 この2群間において、年齢は正常群が60±15、欠乏群が58±15歳、女性の割合は正常群が77%、欠乏群が69%で、それぞれ欠乏群で有意に低かった(p<0.0001)。また、BMIは、正常群が28±7、欠乏群が31±8で、欠乏群が有意に高かった(p<0.0001)。既往歴については、高血圧、糖尿病が欠乏群で有意(p<0.0001)に多く、心血管疾患(CVD)、心筋症は正常群でも有意(p=0.03)に多かった。

 着目した死亡は、正常群で43人(1%)に対し、欠乏群で293人(4%)と有意(p<0.0001)に欠乏群の方が多かった。ロジスティック回帰分析により、ビタミンD欠乏症が死亡の強力な独立予測因子であることが分かった(オッズ比2.64、95%信頼区間;1.901-3.662, p<0..0001)。

 一方、ビタミンDの補充は有意な延命効果と関連(オッズ比0.40、95%信頼区間;0.335-0.576、p<0.0001)しており、ビタミンD欠乏症患者では特に効果的であった。この効果は、アスピリンやスタチンの使用など他の心臓保護因子とは無関係であることも分かった。

 演者らは、「今回の検討により、ビタミンD欠乏症は心血管疾患の有意なリスク因子であり、生存率低下の有意な独立予測因子である」とし、また「欠乏症患者に対するビタミンD補充は、大きな延命効果と関連している」と結論した。

(日経メディカル別冊編集部)