英GE HealthcareのPaul Cload氏

 スタチン使用群において癌発症リスクの増大は認められないことが報告された。4万5857組の患者群を対象に行われたレトロスペクティブコホート研究により明らかになった。英GE HealthcareのPaul Cload氏(写真)らが、11月17日までシカゴで開催された第83回米国心臓協会・学術集会(AHA2010)で発表した。

 演者らは、スタチンと癌の関連について学術的議論が続いるとし、スタチン使用と癌発症とを結び付けることができるかどうかを明らかにする目的で、米国の一般的な成人人口を対象にレトロスペクティブコホート研究に取り組んだ。

 電子カルテのデータベースから、1990年1月から2009年2月までの期間の分析可能な約1100万枚(1119万6881枚)を抽出した。このうちスタチンの使用者は119万1822人、非使用者は1000万5059人だった。傾向スコアマッチング法により、同様の傾向を共有しているスタチン投与群と非投与群のペア(4万5857組)を構成し、この2群間で比較検討した。

 解析の結果、マッチング前は、スタチン群で20万3763人のうち2万3906人(11.7%)に癌が発生し、非スタチン群で15万9004人のうち1万7457人(11.0%)に癌が発生していた。マッチング後は、スタチン群における癌発症率は11.4%、非スタチン群では11.1%となった。多変量マッチングのコックス回帰分析では、非スタチン群に対するスタチン群のハザード比は1.04で、有意差はなかった(95%信頼区間;0.99-1.09、p=0.12)。また、10年間までの癌診断のカプラン・マイヤー生存曲線も、スタチン群と非スタチン群間で差異を示すことはなかった。なお、癌の種類別に見た場合も、両群間で差はなかった。

 これらの結果から演者らは、「傾向マッチング法で構成した約4万6000組を分析したが、スタチンと関連づけられる統計的に有意な癌発症リスクの増大は立証されなかった」と結論した。

(日経メディカル別冊編集部)