米Harbor-UCLA医療センターのNaser Ahmadi氏

 心的外傷後ストレス障害PTSD)は、死亡リスクの増大と関連していることが報告された。米退役軍人を対象とした調査により明らかになったもので、米Harbor-UCLA医療センターのNaser Ahmadi氏(写真)らが、11月17日までシカゴで開催された第83回米国心臓協会・学術集会(AHA2010)で発表した。

 PTSDは、様々な医学的問題を引き起こすことが報告されている。演者らは、28万6194人の退役軍人(年齢63±18歳、男性85.1%)を対象に、PTSDの有病率を求めるとともに、PTSDではない人との間で死亡率に差が現れるのかを追跡調査した。同時に、PTSDと冠動脈石灰化スコアとの関連も検討した。

 PTSDの診断には、PCL-M(the PTSD Checklist-Military)、CAPS(Clinician Administered PTSD Scale)を利用した。

 調査の結果、PTSDの有病率は10.6%(3万460人)であった。また、116±24カ月の平均追跡期間中、全体の死亡率は13.2%であった。PTSD群では17.04%、非PTSD群では10.4%であり、PTSD群の方が有意に高かった(p=0.0001)。

 全死因死亡のリスク調整ハザード比(HR)は、非PTSD群と比較してPTSD群では2.41(95%信頼区間;2.11-2.73、p=0.0001)だった。また、死亡した患者群と生存している患者群でPTSDの有病率を比較したところ、それぞれ28.9%と8.1%であった。一方、イベントフリー生存率は、非PTSD群では88%だったが、PTSD群では79%に低下していた。

 PTSDと冠動脈石灰化スコアとの関連については、637人の被験者を対象に冠動脈カルシウム(CAC)スキャン検査を実施した。

 その結果、冠動脈石灰化スコアが0以上の有病率は、非PTSD群で59%だったのに対し、PTSD群では76.1%であった(p=0.001)。PTSD群における冠動脈石灰化スコアは、非PTSD群と比較して有意に高かった(448±472対332±336, p=0.0001)。

 CAC>0の有病者において、PTSD群と非PTSD群との死亡リスクを比較したところ、非PTSD群に対するPTSD群の相対的死亡リスクは1.48であった(95%信頼区間;1.03-2.91、p=0.01)。

 こうれらの結果から演者らは、「PTSDが退役軍人における死亡リスクの増大と関連していることが証明された」とし、さらに、「PSTDはCACで測定するアテローム性動脈硬化の有病率および重症度と関連しており、また心血管死のさまざまな予測因子とは独立して死亡率を予測する」とまとめた。PTSDに関しても、早期発見と早期治療が患者の臨床転帰を向上させる上で重要であることが示された。

(日経メディカル別冊編集部)