米クリーブランド・クリニックのStephen J. Nicholls氏

 冠動脈性心疾患の患者に、アポリポ蛋白質A1ApoA1)誘導体であるRXV-208を12週間投与しても、血中ApoA1値の有意な上昇は認められなかった。ただし、血中高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)値については、有意な上昇が見られ、中でもサイズの大きいHDL-C値が増加していることが分かった。米クリーブランド・クリニックのStephen J. Nicholls氏(写真)らが、約300人について行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験「ASSERT」で明らかにしたもので、11月17日までシカゴで開催された第83回米国心臓協会・学術集会(AHA2010)で発表した。

 Nicholls氏は、主要評価項目の血中ApoA1値には有意差は見られなかったものの、「用量効果については、有意差が認められた」とし、「(有意差を出すには)より多くの被験者数が必要だった可能性がある」とした。

 同氏らは、2010年1、2月にかけて、35カ所の医療施設で、スタチンを服用する安定冠動脈性心疾患の患者299人について試験を開始した。被験者の平均年齢は65.8歳、うち男性は75.3%だった。研究グループは被験者を無作為に4群に分け、一群にはRVX-208を100mg/日、別の群には200mg/日、また別の群には300mg/日、4群目にはプラセボを、それぞれ12週間投与した。投与終了後4週間後に、主要評価項目の血中ApoA1値や、主な脂質パラメータ、安全性などを調べた。

 その結果、血中ApoA1値増加率の中央値は、プラセボ群が0.9%、100mg群が0.1%、200mgが3.8%、300mg群が5.6%と、いずれの群でも有意差は見られなかった(200mgとプラセボ;p=0.10、300mg群とプラセボ;p=0.06)。ただし、用量効果の傾向については、有意差が認められた(傾向p=0.035)。

 また、HDL-C値増加率の中央値は、プラセボ群が0%に対し、100mg群が3.2%、200mg群が6.3%、300mg群が8.3%と、200mg群と300mg群で有意に増大していた(それぞれp<0.05、p<0.01)。

 HDL-Cの中でも、サイズの大きいものの濃度が増加しており、同増加率はプラセボ群が−0.5%に対し、100mg群が11.1%、200mg群が20.2%、300mg群が21.1%と、200mg群と300mg群でプラセボ群との有意差があった(それぞれ、p<0.01、p<0.001)。

 安全性については、肝機能の指標であるALT/AST値が標準最大カットオフ値の3倍以上だった症例が、100mg群で3人、200mg群で8人、300mg群で7人に認めた。

 なお、サイズの大きなHDL-C値増加のタイミングについて見てみると、投与後12週間でまだ増加傾向にあったため、Nicholls氏は、「より長期の投与によって、この点に関するより高い効果が得られる可能性がある」とコメントした。

(日経メディカル別冊編集部)