米Allegheny General HospitalのSobhan Kodall氏

 頸動脈アテローム性動脈硬化症に対し、スタチンを投与して血管の状態が改善した患者の血管内腔面積は、治療前に比べ、逆に狭くなっていることが分かった。これは、米Allegheny General HospitalSobhan Kodall氏(写真)らが、アテローム性動脈硬化症の患者18人の35カ所の頸動脈について、心臓磁気共鳴画像(CMR)撮影を行い明らかにした。11月13日から17日までシカゴで開催された第83回米国心臓協会・学術集会(AHA 2010)で発表した。

 これまでの研究から、動脈狭窄率が40%未満までのアテローム発生の初期段階では、進行に伴い動脈外壁が拡大し、血管内腔面積もいったん拡大することが明らかになっており、これを「Glagov現象」と呼んでいる。今回の研究では、40%未満の動脈狭窄がある人に対し、スタチンを投与することで、血管内の脂質減少とともに発生段階に逆の現象が起きることが明らかになった。

 Kodall氏は、「頸動脈アテローム性動脈硬化症が進行すると血管内腔面積は増大し、また改善すると逆に同面積は縮小する」とした。

 同氏らは、被験者に対し、シンバスタチン40mg、またはシンバスタチン40mgとエゼミチブ10mgを投与し、試験開始時点と12カ月後に、頸動脈CMRを行った。被験者はそれまでにスタチンを服用したことはなく、頸動脈狭窄率は50%未満だった。スタチンの治療効果については、頸動脈外壁面積、血管内腔面積、血管壁面積、脂質面積と脂質率を測定した。

 707枚の断片のうち、スタチン投与前の狭窄率が40%未満だったのは265枚、40%以上は441枚だった。狭窄率が40%未満の断片については、12カ月後、頸動脈外壁面積、血管壁面積、脂質面積に加え、血管内腔面積も有意に減少していた。脂質率については有意差はなかった。

 一方で狭窄率が40%以上の断片については、いずれの項目についても有意な変化は見られなかった。

 脂質面積が減少した病状の「後退群」である329断片について見てみると、同様に、頸動脈外壁面積、血管壁面積、脂質面積に加え、血管内腔面積も有意に減少していた。

 Kodall氏は、この結果の臨床現場へのメッセージとして、「スタチンの治療効果の指標として、血管内腔面積は適切ではないということだ」と話した。

(日経メディカル別冊編集部)