米Scripps ClinicのMatthew J. Price氏

 薬剤溶出ステント挿入後、残存血小板反応性が高い患者に対し、クロピドグレルを通常の2倍量投与しても、6カ月間の心血管イベントリスクは、標準量投与に比べ変わらなかった。多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験 (GRAVITAS)の結果、明らかになった。米Scripps ClinicMatthew J. Price氏(写真)らが、11月13日から17日までシカゴで開催される第83回米国心臓協会・学術集会(AHA2010)で発表した。

 これまでの研究結果から、クロピドグリルを服用しながらも、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後にVerifyNow P2Y12検査で高い血小板反応性が認められる人は、その後の臨床アウトカムが、そうでない人に比べて悪いことが明らかになっていた。こうした患者に対し、クロピドグレル投与量を増やす医師が多いのも現状だという。Price氏は、「今回の研究結果は、この治療戦略では臨床アウトカムは向上しないことを示している。例えば、PCI前に検査を行う、他の薬を使う、といった、他のアプローチを探る必要がある」などと語った。

 同研究グループは、薬剤溶出ステント挿入を行った患者について、術後12〜24時間内に、VerifyNow P2Y12(Accumetrics社)を使って血小板反応性を調べた。P2Y12反応単位(PRU)が230以上だった2214人を無作為に2群に分け、一方には高用量クロピドグレル(初回600mg投与、その後150mg/日)を、もう一方の群には標準量の75mg/日を、それぞれ6カ月間投与した。

 被験者の平均年齢は64歳、うち男性は65%だった。主要評価項目は、6カ月以内の心血管疾患死、心筋梗塞、またはステント内血栓症の統合イベントだった。

 その結果、主要評価項目の発生率は、高用量群、標準用量群ともに2.3%だった(ハザード比1.01、95%信頼区間;0.58〜1.76、p=0.98)。一方、高用量投与群と標準投与群では、出血リスクは同等で、高用量投与の安全性が確認された。

 同研究グループは今後、GRAVITASデータのさらなる分析を行い、結果は来年初めに発表する予定だという。
 
(日経メディカル別冊編集部)