米Virginia Commonwealth大学医療センターのKenneth A. Ellenbogen氏

 心臓再同期療法CRT)を行う際に、房室遅延の最適化を行っても、行わなかった場合と比べ、左室収縮終末期容積LVESV)や心不全症状、生活の質QOL)の改善にはつながらないことが示された。現状では、CRT抵抗性の患者の割合は約30%に上り、房室遅延の最適化が、CRTの治療効果を上げるのではないかと考えられていた。約1000人の心不全患者を対象に、房室遅延を固定した場合と、2種類の方法で最適化した場合について、それぞれのアウトカムを比較した無作為化試験で明らかになった。米Virginia Commonwealth大学医療センターのKenneth A. Ellenbogen氏(写真)らが、11月13日から17日までシカゴで開催される第83回米国心臓協会・学術集会(AHA2010)で発表した。

 Ellenbogen氏は、「ルーチンの房室遅延最適化で、症状の改善に至らなかった」としたが、「CRT抵抗性の患者に対して、房室遅延の最適化技術が有効である可能性を否定する結果ではない」と語った。

 同研究グループは、ニューヨーク心臓協会(NYHA)の心不全分類でクラスIIIとIVに属す1014人を集め、うち980人を対象に試験を行った。被験者の平均年齢は66歳、うち68%が男性で、左室駆出分画(LVEF)は平均25%だった。

 研究グループは被験者を無作為に3群に分け、全員にCRT除細動器を埋め込み、一群は房室遅延を予め120msに固定した。別の群は心エコーを用いて房室遅延を最適化した。もう一つの群は、自動的にアルゴリズムを用いて房室遅延を最適化するCRT除細動器「SmartDelay」(米Boston Scientific社製)を使用した。

 主要評価項目は、6カ月後の左室収縮終末期容積(LVESV)だった。副次的評価項目は、LVEF 、6分間歩行、QOL、NYHA心不全分類の変化だった。

 その結果、6カ月後のLVESV変化の中央値は、SmartDelay(SD)群が−21mL、エコー群が−19mL、固定群が−15mLだった。SD群とエコー群(p=0.52)、SD群と固定群(p=0.66)ともに有意差はなかった。副次的評価項目についてもまた、いずれの項目も各群で有意差はなかった。

 ただし、性別によるサブグループ分析でLVESV変化を見てみると、SD群とエコー群が、固定群より減少幅が有意に大きかった(p=0.02)。

(日経メディカル別冊編集部)