米Lankenau Institute for Medical ResearchのPeter R. Kowey氏

 発作性または持続性心房細動を1度以上発症した人に対し、オメガ3脂肪酸を投与しても、心房細動の再発予防効果はないことが、無作為化プラセボ対照二重盲検試験で明らかになった。これまでに、魚油には心房や心室組織の抗炎症作用などがあることが知られているものの、オメガ3脂肪酸の心房細動に対する治療効果については、明確な研究結果が出ていなかった。これは、米Lankenau Institute for Medical ResearchPeter R. Kowey氏(写真)らが行った研究で、11月13日から17日までシカゴで開催される第83回米国心臓協会・学術集会(AHA2010)で発表した。

 現状では、心房細動に対する効果的な治療法は少なく、また副作用が多い。そのため、オメガ3脂肪酸の心房細動に対する治療効果に期待がかかっていた。会場からは、「治療対照とする患者グループを変えてみてはどうか」「投与量が多すぎたのではないか」と言った意見も出された。これに対しKowey氏は、「同試験の被験者となった患者グループは、合併症が少なく、年齢も若く、一方で心房細動再発リスクが高い集団だ。もしオメガ3脂肪酸に心房細動再発予防効果があるとすれば、この集団で効果が出ているはずだ」とした上で、「投与量については、多すぎると逆効果になることもあるので、その可能性について完全に否定はできない」と語った。

 同研究グループは、2006年11月〜2009年7月にかけて、症候性心房細動が認められた患者663人について調査を開始し、2010年1月まで追跡した。被験者のうち、発作性心房細動は542人、持続性心房細動は121人だった。被験者の平均年齢は61歳、56%が男性だった。

 研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方には、当初7日間はオメガ3脂肪酸8g/日を、その後24週間までは4g/日を投与した。もう一方の群には、プラセボを投与した。

 主要評価項目は、発作性心房細動の症候性再発だった。副次的評価項目は、持続性心房細動の症候性再発と、発作性・持続性を合わせた症候性再発とした。

 その結果、発作性心房細動群では、症候性心房細動の再発または心房粗動は、プラセボ群269人中129人(48%)に見られたのに対し、オメガ3群では258人中135人(52%)と、両群に有意差はなかった(ハザード比1.15、95%信頼区間;0.90-1.46、p=0.26)。

 持続性心房細動群についても、症候性心房細動の再発は、プラセボ群18人(33%)に見られたのに対し、オメガ3群では32人(50%)と、両群に有意差はなかった(ハザード比1.64、同;0.92-2.92、p=0.09)。さらに、発作性・持続性心房細動群を合わせた、オメガ3群のプラセボ群に対する心房細動再発に関するハザード比は、1.22(同;0.98-1.52、p=0.08)と有意差はなかった。

 有害作用のために服用を中止したのは、プラセボ群の5%に対しオメガ3群の4%と、いずれも低く、両者に差はなかった。

(日経メディカル別冊編集部)