米Wake Forest大学のSubhashish Agarwal氏

 メタボリックシンドローム(MetS)の構成要素を因子とする主成分分析により得られたリスクスコア(MetS-PC)は、さまざまな人種の集団において心血管疾患(CVD)の優れた予測因子であることが示された。多人種の動脈硬化症に関するコホート研究(MESA)によって明らかになったもので、米Wake Forest大学Subhashish Agarwal氏(写真)らが、11月13日から17日までシカゴで開催される第83回米国心臓協会・学術集会(AHA2010)で発表した。

 Agarwal氏らは、米コレステロール教育プログラム(NCEP;National Centers for Environmental Prediction)によるMetS診断基準は、その基礎となったデータの大部分が白人の集団から得られたものであるため、他の人種の集団にはそぐわない面があると判断。今回、大規模な多人種コホート研究であるMESAにおいて、MetSの構成要素因子とする主成分分析を行い、その結果を基にした新しいMetSのリスクスコア(MetS-PC)を構築し、従来のNCEPのMetS診断基準との間で心血管疾患(CVD)の予測能を比較検討した。

 演者らはまず、MESAコホート中の白人(2610人)、中国系アメリカ人(801人)、アフリカ系アメリカ人(1875人)およびヒスパニック系アメリカ人(1494人)を対象に、それぞれMetSの構成要素(胴囲、HDL、TG、空腹時血糖、収縮期血圧、および拡張期血圧)を基に主成分分析を行いMetS-PC(2成分による定義)を構築した。

 多変量Cox比例ハザードモデルを用い、MetS-PCとMESAコホートの5.5年間で診断されたCVDイベント(384件)との関連性を検討した。

 その結果、MetS-PCを用いた場合のCVDイベントのハザード比(HR)は1.46(95%信頼区間;1.36-1.58、p<0.0001)であった。人種で層別化したところ、補正HRは、白人1.42(95%信頼区間;1.26-1.60)、中国系1.39(同1.06-1.83)、アフリカ系1.44(同1.25-1.65)、ヒスパニック系1.69(同1.43-1.99)となった(中国系p<0.02、それ以外はp<0.0001)。

 また、MetS-PCの四分位の上昇に伴うCVDイベントの傾向を表すLog rank検定を行ったところ、中国系(p<0.02)を除いて、コホート全体と各人種で非常に有意(p<0.0001)であった。コホート全体では、CVDイベントの補正HRは、MetS-PCの四分位が上昇すると1.54から3.66に増加した。

 NECPのMetS診断基準との比較では、NECPのMetS診断基準を用いた場合のCVDイベントの補正HRは1.79(1.46-2.20)であったのに対し、MetS-PCの場合は2.34(1.91-2.87)となった。

 これらの結果から演者らは、「MetS-PCは心血管リスクの連続測定法であり、コホート全体および各人種のCVDイベントの優れた予測因子である」と結論、「NCEPのMetS診断基準をしのぐものとなる」と期待をこめた。

(日経メディカル別冊編集部)