米Michigan大学のKeith Aaronson氏

 小型連続フロー型左室補助循環装置であるHVAD Left Ventricular Assist Device SystemHeartWare社製)を、心臓移植待機者について使用したところ、180日生存率は92%、360日生存率90%と、いずれも従来製品と同等であることが分かった。その上、器具を装着して3カ月後の6分間歩行距離が試験開始時点に比べ113メートル増加するなど生活の質(QOL)の向上も認められた。米Michigan大学Keith Aaronson氏(写真)らが、重度心不全で心臓移植を待つ約140人について行った試験で明らかにしたもので、11月13日から17日までシカゴで開催される第83回米国心臓協会・学術集会(AHA2010)で発表した。

 発表後、この試験が心移植待機者という症状の重い患者グループを対象としている点は、同製品の効果を証明する上で強味であるとし、「最低でも従来の製品と同等の効果があると言える」という指摘があった。

 同研究グループは、2009年3月から2010年2月にかけて、30カ所の医療機関を通じ、心臓移植の待機者137人に対し、HVADを装着した。被験者は18歳以上で、平均年齢53.5歳、全米臓器配分ネットワーク(UNOS)基準1Aまたは1B、BSAは1.2m2以上(平均値2.1m2)、左室駆出分画は平均17.9%だった。HVADは、厚さ4.2mmと従来製品よりも小型で、心膜に挿入し、最大10L/分の血流を促す。

 対照群は、同時期に米国内で従来の左室補助循環装置「LVAD」を装着した心不全患者499人。平均年齢は52.2歳、BSA平均値は2.07m2だった。装着180日後、360日後に、両群の生存率を比較した。また、HVAD群については、装着3カ月後のQOLについても調査を行った。

 その結果、HVAD群の180日生存率は92%と、LVAD群の90%と同等だった。360日生存率についても、HVAD群は91%と、LVAD群の86%と同等だった。

 また、HVAD群の3カ月後の6分間歩行距離は、試験開始時点よりも113メートル増加した(p<0.001)。QOLの指標としては、心不全の症状による日常生活への制限について調べたKCCQと、EQ-5D視覚評価法(VAS)を用いて比較した。3カ月後のスコアは、KCCQの臨床スコアが平均33ポイント増加、総合スコアは35ポイント増加した(p<0.001)。EQ-5D VASスコアもまた、同期間で平均35ポイント増加した(p<0.001)。

 有害事象としては、出血や感染、心室性不整脈の発生率は、過去の研究結果による従来製品と比べ少ない傾向が見られ、脳卒中についてはほぼ同等だった。

 Aaronson氏は、「(HVADを装着した人は)移植まで生き延びるだけでなく、その間症状が改善し、ずっと活動的になる」と語った。

(日経メディカル別冊編集部)