デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMette Christoffersen氏

 眼瞼黄色腫は、虚血性心疾患心筋梗塞あるいは死亡の予測因子となりうることが報告された。1万2939人を対象とした前向き観察研究の結果、明らかになった。デンマーク・コペンハーゲン大学病院Mette Christoffersen氏(写真)が、11月13日から17日までシカゴで開催される第83回米国心臓協会・学術集会(AHA2010)で発表した。

 眼瞼黄色腫はまぶたのコレステロール沈着で、アテロームのようにコレステロールを吸収し泡沫細胞となっているマクロファージからできている。眼瞼黄色腫がある人の50%は血中脂質濃度が正常であることから、血しょう中のコレステロール濃度とは独立してアテローム性動脈硬化症の重要な皮膚マーカーとなることが示唆されている。演者らは、この仮説について検証を試みた。

 デンマークの一般集団から眼瞼黄色腫があるか、またはない1万2939人を試験開始(ベースライン)時に登録した。このうち、最大33年間のフォローアップ期間中に、1903人が心筋梗塞(MI)、3761人が虚血性心疾患(IHD)を発症し、8663人が死亡した。

 年齢を関数とした虚血性心疾患と心筋梗塞の累積発生率は、眼瞼黄色腫がない被験者群に比べ眼瞼黄色腫がある被験者群で増加した。一方、生存率は眼瞼黄色腫がある被験者群で減少した。

 眼瞼黄色腫のある被験者で、ない被験者に対する多変量補正後のハザード比を求めると、MIについては1.51(95%信頼区間;1.26-1.81、p<0.0001)、IHDについては1.40(95%信頼区間;1.22-1.60、p<0.0001)となり、それぞれ眼瞼黄色腫が予測因子であった。死亡率についても同様に、眼瞼黄色腫のない被験者に対する多変量補正後ハザード比を求めたところ、1.17(95%信頼区間;1.06-1.28、p<0.0001)となった。補正は、血しょうコレステロール濃度のようなよく知られた心血管リスク因子に対して行った。

 コレステロール濃度以外にも、例えば毛細血管漏出、マクロファージ特性、あるいは細胞内基質成分のような因子は、特定の被験者において、眼瞼黄色腫とアテローム性動脈硬化または早期死亡の両方が生じやすくなることを示している。このことから今回の結果について演者らは、「他の心血管リスク因子が容易に把握できない場合、眼瞼黄色腫の有無はアテローム性動脈硬化症の有益な予測因子となると思われる」などと考察した。

(日経メディカル別冊編集部)