米ミズーリ大カンザスシティ医学校のJoseph Le氏

 米国では、小児の25%以上に肥満を認め大きな公衆衛生上の問題となっている。11月8日から12日までニューオーリンズで開催された米国心臓協会・学術集会AHA2008)でも関連する発表が目立ったが、その1つ、いわゆる血管年齢に着目した研究によると、肥満や脂質異常などのリスクを抱える子どもでは、予想以上に血管年齢が進んでいることが分かった 。米ミズーリ大カンザスシティ医学校Joseph Le氏(写真)らが11月12日に発表した。

 演者らは、脂質異常、肥満と脂質異常あるいは若年心臓死の家族歴のいずれかの理由で受診した児童70人を対象に、高解像度探針を使って頸動脈の超音波検査を実施し、頸動脈内膜中膜肥厚(CIMT)を測定した。

 CIMT値は、総頸動脈の分岐点の2cm近位にある血管壁を描写した複数の画像から、半自動エッジ検出ソフトウェアを使って計算した。子どもの血管年齢は、測定したCIMT値を、成人向けに作成されたCIMTパーセンタイル表と比較することによりはじき出した。

 被験者の実年齢は13.0±3.3歳、白人が62人(89%)、男児が34人(49%)だった。体重は64.0±23.4kgで、41人(59%)が同年齢の95パーセンタイルより上だった。また、BMIは25.6±6.0kg/m2で、40人(57%)が年齢の95パーセンタイルより上だったほか、収縮期血圧(SBP)は23人(33%)が性別、年齢、身長の各指標で95パーセンタイルより上であった(119.9±14.1mmHg)。

 また、空腹時の脂質状態をみたところ、総コレステロールが223.4±57.5mg/dL、トリグリセリドが151.9±105.4mg/dL、LDLコレステロールが149.8±59.0mg/dL、HDLコレステロールが46.3±13.4mg/dLなどで、HDLコレステロール以外は異常レベルに達していた。

 測定した平均CIMT値は0.45±0.03mm、最大CIMTは0.75mmだった。それぞれの被験者で血管年齢を求めたところ、25歳以上と判定されたのは52人(74.3%)に上り、25歳以下は18人(25.7%)に留まった。

 血管年齢が25歳以上群と25歳未満群の間で、重回帰分析により危険因子を検索したところ、体重とBMI、HDLコレステロールが有意な予測因子となった。また、空腹時のトリグリセリド値が高い子どもほど、血管年齢が進行している傾向も把握された。

 演者らは、「肥満や脂質異常がある子どもでは血管年齢が進行しており、特に空腹時のトリグリセリド値が高い子どもで進行していた」と結論付けた。その上で、さらに検討を重ね、血管年齢の改善、ひいては心血管イベントの抑制に結び付けていきたいとした。