急性心筋梗塞(AMI)治療の現場では、90年代後半から2000年代にかけてアンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬の使用やPCIの施行が大幅に増加したが、女性は男性に比べ、新たな治療の適用が少なかった。また、同じ期間に男性では生存率が有意に改善していたが、女性では有意ではないものの、生存率がむしろ低下していた。米国における調査結果で、米ミネソタ大学疫学・地域健康学科のAlan Berger氏らが、ニューオーリンズで開催された米国心臓協会・学術集会AHA2008)で発表した。

 Berger氏らは、ミネソタ州最大の都市ミネアポリスと周辺の都市地域を対象とした心血管疾患断面調査であるMHS(Minesota Heart Survey)のデータと診療情報などの関連データを用い、1995年と2001-2002年を比較した。

 対象は、1995年時点が男性764人、女性549人、2001-02年時点が男性888人、女性630人。この間、入院時の治療では、男女ともPCIの施行、β遮断薬ACE阻害薬の使用が有意に増えていた。一方、CABGの施行、カルシウムチャンネル阻害薬ワルファリンの使用は男女とも有意に減少していた。

 両時点の治療状況の変化を男女で比較してみると、1995年時点ではPCI施行とアスピリン使用で有意な男女差はなかったが、2001-02年時点には、男女で使用状況に有意差がつき、男性の方が増加していた。

 退院時の投薬も同様で、1995年時点では、β遮断薬、ACE阻害薬、アスピリン、抗凝固薬の使用に有意な男女差はなかったが、2001-02年時点には、いずれも有意な男女差があり、男性の方が多く使われていた。

 入院期間は、この間に男女とも有意に減少していたが、男性は7.2±5.0日から5.2±3.9日、女性は7.8±5.0日から6.1±5.0日と、両時点とも男性が有意に短かった。

 MI、糖尿病狭心症心不全の既往とPCI/CABG施行、年齢で調整した3年生存率を比較すると、男性ではこの期間に有意に向上していた(p=0.01)が、女性では有意ではないものの(p=0.38)、わずかに悪化していた。1995年時点では男女の生存率に有意な差はなかった(p=0.86)が、2001-02年時点には有意な男女差がみられた(p=0.001)。

 これらの結果についてBerger氏らは、「2001年時点の男女の生存率の差は、少なくとも部分的にはこの間の治療方法の差(進歩)が関与している」とし、「この2時点の傾向が現時点ではどのようになっているか、また、なぜ男女で治療戦略が異なるのかを解明する必要があるのではないか」と指摘していた。